未確認生物?

録画しておいた「イグジスツ 遭遇」を視聴。

若者のグループが人里離れたところ(当然、ケータイの電波は届かない)へ遊びに来て次々に殺されていくという、ホラーにはありがちな設定。その中の一人が記録を担当しているというPOVの手法ももう飽きるくらい見ています。で、彼らを殺すのは殺人鬼か悪霊かと思いきや、本作ではビッグフット、UMAと呼ぶのでしょうか? まあゴリラと人間の愛のこのような存在。

ビッグフットの噂、主人公の兄弟は知っていたのに友達には教えずにやってきたわけで、その途中、真っ暗な森の中で車が何かに当たったような音と衝撃。ここでビッグフットとぶつかったのかな、という伏線を張っておくのは理解できます。しかし、特に死体があるわけでもないので、「うーん、なかなか頑丈な奴だ」という印象を与えられます。彼らの会話の中で「ビッグフットはこちらから何かしなければ襲ってこない」というセリフがありますが、交通事故でぶつけられたから、その仕返しに襲ってきているのか? とにかくわけがわからず襲われていくわけです。

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アナベル 死霊館の人形

ほぼ1年前にこのダイアリーにも感想を書いた「死霊館」の前日譚にあたる「アナベル 死霊館の人形」を視聴。

 

今回の作品はアナベルと呼ばれる人形がどうして誕生したのか、というストーリーです。

全体的には、始めて子供を授かった若いお母さんが産前産後の不安から妄想を見てしまっていると、悪魔などを信じない人はそう解釈するのでしょう。その意味では、本作はかの有名な「ローズマリーの赤ちゃん」のリメイクのような気もします。もちろん、ローズマリーの方には人形は登場していなかったはずですが……

さて、その夫婦。隣家の夫婦が惨殺されるという事件に遭遇し、なおかつその犯人が彼らの家にまで入ってきて、妻は腹部を刺されてしまいます。夫が何とか抵抗しているうちに警察が駆けつけ、犯人の男性は射殺、女性は自ら首を切って自殺。その時犯人の女は、夫が妻のために買ってきたアンティークの人形を手に抱えていて、その人形の瞳に、首から垂れた血が一滴。夫婦を襲った犯人は、隣家の夫婦の娘とその仲間。数年前に家出をした娘はカルト教団に入っていて、その仲間と共に悪魔の復活を企てていたようです。そのために近親者の地が必要となって実家の両親を殺害したというのが事件のあらましです。

そんな家は縁起も悪いと新しいアパートに引っ越した若い夫婦。瀕死の重傷を負いながらもなんとか母子共に無事で、子供も健やかに育ち始めますが、引っ越した先のアパートでも不吉なことが。そもそも犯人の女が持っていたから気味が悪いと捨てたはずの人形が引っ越し荷物の中に紛れて再び現われます。せっかく夫が買ってくれたものだから、恐怖から逃げていてはダメだと自分に言い聞かせて、妻はその人形を飾るのですが、その日から夫婦の周囲でおかしなことが起こり始めます。

最初は妻が精神的にまいっているだけだと思っていた夫も、妻の言うことを信じ神父に助けを求めたりしますが、その神父も悪魔によって重症を負わされます。そして、神父から人形と悪魔の復活の話を聞いて夫が自宅へ急ぎます。自宅では、なにかと親切にしてくれた本屋の女主人と妻が不可解な現象に襲われ、女主人は家から追い出され、妻は悪魔に翻弄され、窓から飛び降りようとしますが、すんでのところで駆けつけた夫に助けられます。誰かが悪魔に命を捧げないと赤ん坊が戻ってこないと訴える妻を夫はなだめようとしますが、そんな二人を尻目に本屋の女主人が例の人形を抱いて、自分が身代わりになるとアパートの窓から身を投げます(このシーンだけ、どこかで見覚えがあるのですが、この映画を既に見たという記憶はないのですけどね)。夫婦が気持ちを落ち着けると今まで見つからなかった赤ん坊が。しかし、飛び降りた女の傍らから人形は消えているのです。

とここまでが先日譚。この映画の冒頭では、人形を手に入れてから恐ろしいことが起きると相談に看護師とその友人が出てきます。その相談の結果がどうなったのかわかりませんが、場面は一年前に飛び、上述の夫婦のストーリーとなります。最後になくなった人形があるアンティークショップの棚に並んでいて、それを看護師が買いに来るところで終わっています。

ちなみに、アナベルとはカルト集団に入信し、自分の両親を殺害に及んだ娘の名前です。実際のアナベル人形などに関する事実はこちらのページをどうぞ。

ホラーではなくシリアルキラー?

ダリオ・アルジェントの監督デビュー作「歓びの毒牙」を視聴。1970年の作品。

 

映像はいかにもアルジェントといった感じで、当時としては音楽と相俟って相当スタイリッシュな印象を与えたのではないでしょうか? ダリオ・アルジェントと言えば、いや言わなくとも一定年齢以上の日本人なら誰もが知っていると思われる「サスペリア」でしょうが、本作は悪魔と霊とか、そういったものは出てきません。ですから、ホラーではないですね。

ストーリーを簡単におさらいしますと、イタリアに滞在中の売れないアメリカ人作家の青年が主人公。ようやく一冊出すことができ、印税も入ったのでアメリカに帰国できるという矢先、たまたま帰り道に女性が指されるところ目撃、自身もショーウィンドーに閉じ込められてしまします。最初は犯人と疑われつつも、唯一の目撃者としてパスポートを取り上げられ帰国できなくなってしまいます。ローマではこのところ連続女性殺害事件が起きていて、警察も躍起になって犯人を追っているのでした。

さて主人公も乗りかかった船で、警察と協力しつつも犯人捜しを始めますが、逆に犯人に襲われてる始末。その間にも女性は襲われますが、主人公も少しずつ犯人に迫っていきます。そして、察しのよい人なら途中でわかっていたかもしれないあの人が真犯人でした。

いったん犯人が挙がったと見えて実は真犯人は別にいるという展開は、今となっては陳腐ですが、当時としては斬新だったのではないでしょうか? それに犯人至るヒントとなる絵の謎、その絵に隠された真犯人の過去。なかなかよくできた作品ではないでしょうか。少なくとも、今でも決して古臭いとは感じない作品だったと思います。

そしてもう一本。スカパー!で放送していた「ゆがみ。〜呪われた閉鎖空間〜」を視聴。

オムニバスで、ホラー作品を主としていたころの「世にも奇妙な」のような感じです。ウェブサイトはこちら

そのウェブサイトを視て気づいたのですが、全部で8つの作品があるようですが、スカパー!のMONDO TVで放送されたものでは「報復」が放送されていなかったと思います。なんででしょう? 権利関係の問題なのでしょうか?

で、個人的には「メイキング」と「ツナガル」がよかったかな、という感じです。作品そのものよりも、出ている女優さんが好みのタイプかどうかで決めている感がありますが(鮎川桃果とか?)、「ツナガル」はちょっと切ない感じがあって、それなのにああいう結末になっちゃうのか、と思いました。また「生命保険」もなかなか怖い話ですが、セールスレディ(末永百合恵)があんなにAV女優みたいでよいのでしょうか?

悪魔は棲んでいたのか?

WOWOWで録画しておいた「悪魔が棲む家666」を視聴。

これ、タイトルからは「悪魔の棲む家」の亜流のような感じですが、まるで違いました。

 

ストーリーは、アメリカには実際にこういうところがあるようですね、宗教コロニーというのでしょうか、世間と断絶した、自分たちだけの共同体で信仰を守って暮らしている団体、そこで起こった殺人事件です。ですから「悪魔の棲む家」と言うよりは、むしろM・ナイト・シャマランの「ヴィレッジ」の方が近いかもしれません。

さて、このコロニー、十数年前の6月6日に6人の女の子とが生まれます。「666」という悪魔の数字。オーメンですよね? 言い伝えでは、この子たちが成人すると悪魔が復活するということで、共同体の長老は赤ん坊を殺そうとしますが、母親の一人の気がふれ、生まれたばかりのわが子を殺し自殺してしまいます。そして時は流れ、残りの5人の少女たちは姉妹のように美しく成長し、あと数日で18歳の誕生日、6月6日。それを前にして、一人また一人と少女たちが何者かに殺されていくのです。

前半、共同体を支配する長老がいかにも胡散臭く、人々を洗脳して自分の思いのままに支配している感がありありとしていて、日本人であればオウムなどの新興宗教団体の活動を思い出す人も多いのではないでしょうか? そして殺人事件も悪魔の仕業であるというオカルト的なところは微塵もなく、この長老、あるいは長老の意を受けた取り巻きが起こしているように進みます。なぜそんなことをするかといえば、悪魔の復活を阻止するためです。

それに対して、ようやく共同体の偽善に気づきはじめた主人公。彼女は6人の少女の一人なのですが、父親は彼女たちが生まれたときに長老の暴挙を止めたため、なんとなく長老から嫌われていて、なおかつ彼女を産んだ奥さんは、その後共同体の信仰を捨てたために追放となってしまい後妻をもらっていて、主人公と継母とは険悪な仲。

6人の少女が同じ日に生まれたことによる言い伝え、共同体の噂を知れば知るほど、何の根拠もない、非科学的な話だとわかるのですが、とりあえずこのあたりまでは本当の殺人事件を主軸としつつも、オーメン的な悪魔の存在を匂わせた、共同体の不可思議さがよい塩梅で描かれています。そして主人公は追放された母親が街で生きていることを知り、会いに行きます(ずっと母親は死んだと聞かされていたのです)。

ここへきて、娘を因習に囚われた共同体から助け出したい実の母、そして共同体の外の一般社会に暮らすボーイフレンドなども動きだし、共同体解体へ、殺人事件の犯人捜しに向けてストーリーが動いていきます。少女たちは次々に殺され、ただ一人残された主人公も誕生日が間近。伝説では、6人のうち5人が死に、ただ一人残った少女が悪魔の強大な力を身につけてこの世を支配するとのこと。

主人公を殺そうとする長老、そして共同体の人々から間一髪救い出し、外の世界の病院で誕生日を迎えた主人公。何も起こらない、結局は伝説は噂に過ぎなかったと思いきや、彼女には悪魔の力が備わり、ボーイフレンドを殺し、共同体に戻って長老らを皆殺しにするところでジ・エンド。

ちなみに、これまでの少女連続殺人の真犯人は実の母。理由は、自分の子に悪魔の力を宿らせたいがために、他の5人を殺し、生き残るのは自分の娘にさせるためでした。いや、オカルトに見せかけて実は人間による殺人事件というストーリーが、最後の最後で悪魔の話に戻っちゃって、うーん、どうなのでしょう?

結局のところ、長老たちは本当に信仰に熱いだけの人であって、悪魔に魂を売り渡したのは実の母の方だったわけです。となると、コロニーを追放されたのも納得です。

ピラミッドの呪い

スカパー!だったかWOWOWだったか、どちらなのか忘れましたが、先日放送されていた「ピラミッドの呪い」を鑑賞。

テーマとしてはありがち。新発見のピラミッドを発見した考古学者父娘と、それを取材するクルーがピラミッドに閉じ込められ、その中で得体の知れない生物に襲われ命を落としていくというストーリー。モキュメンタリーの手法を使いつつ、全部が全部それはなっていないので、モキュメンタリーにありがちな、強引な撮影、その状態で撮っているなんてありえないでしょ、というシーンは少なく、至ってまともな印象です。

さて、この映画、おきまりどおり、一人殺され、二人殺されと、だんだん減っていくわけですが、ピラミッドの中の魔物って何だと思いますか? 食べるものも光もない闇の世界ですから、一般的な生物とは考えられませんよね。まあ単細胞生物的なものなら生きられるでしょうけど、それだと人を襲うなんてふうにはなりません。せいぜいが感染して徐々に死に至るでしょう。

はい、これが怖いのか笑ってしまうのか、人によると思いますが、正体は古代エジプトの神アヌビスです。ヒエログリフなどにも描かれていますし、古代エジプトと言えば、頭がジャッカルで体が人間の姿をした絵を見たことないでしょうか? あれです。

この映画の中では、死者の正義を量るものとして描かれ、天秤で死者の心臓の重さを量っています。つまりは進入してきた者の心臓をえぐり出してはそれを量っていたようです。どうやって子供を残すのかはわかりませんが、子供(これは仔猫か子犬、あるいはウリ坊のように見えました)が親であるアヌビスを襲って食べ、そして成長するようです。子供たちは何匹も描かれていましたが、あれも成長の過程で仲間割れ、共食いをして、ただ一匹だけが生き残るのでしょうね。

さて、主人公であるヒロイン、考古学者の娘がなんとかピラミッドから脱出したところでアヌビスが現われて、というところで映画は終わります。このエンディングもありがちですね。あるいは映画がヒットしたら続編を考えていたのでしょうか? でも続編を作るには確実に生き残る人が一人はいないとダメなはず。うーん、わからない。

ただ一つ感じたのは、たぶん盗掘防止なのでしょうけど、たぶんピラミッドって下手に入ると、この映画のように迷って出られなくなり、いくつもの罠が仕掛けられていたのでしょうね。そして外から閉めるだけで中から開けられない構造になっていたのでしょう。そういうところはよくわかりました。

犯罪ものか? オカルトか?

録画しておいた「NY心霊捜査官」を視聴。

 

原作本も『エクソシスト・コップ』というタイトルで刊行されていたのですね。しかしまあ、映画のタイトルにしても書籍のタイトルにしてもB級臭がプンプンします。一応は実話に基づいているということですが……

ニューヨーク市警のサーキ刑事は他人とは異なる能力、いわゆる霊能力を持っているようですが、ある日ちょっと猟奇的な事件に遭遇し、そこから悪魔払いを専門とするメンドーサ神父と共に事件の背後にある悪霊退治に乗り出していくというストーリー。

中東の戦場で米軍兵士が悪霊に取り憑かれてくるというモチーフは、確かかの有名な「エクソシスト」がそんな始まりだったような記憶があります。そして主人公が過去のトラウマを抱えていたり、家族にまで危害が及んでしまうというところはオカルト映画、悪魔(悪霊)映画の定番のような感じです。神父と主人公による悪霊との最後の闘いも、「まあ、どっかで見たことあるよね」という感じです。

警察捜査ものと心霊ものを組み合わせた作品なのですが、1+1が2以上にはなっていなくて、あくまで2のままというのが惜しいところ。ただ、実話を元にしている以上、大袈裟な脚色は出来なかったのでしょうね。逆にこれが本当にこのまんま起こった出来事だとしたら、相当怖いです。

が、やはり悪霊の仕業ではなく、あくまで精神病と言いますか、心理学の範疇で解決できそうな気がします。

ビーストサイド

先日WOWOWで放送されていた「人狼ゲーム ビーストサイド」を録画しておいたので視聴。

 

桜庭ななみ主演の第一作見ましたが、本作はその続きではなく全く別の作品です。シチュエーションも同じで、ただ単に出演陣が変わっただけ、と言ってしまうと身も蓋もないのですが、それでも多少は趣向が変わったかな、という感じは受けました。

 

第一作で桜庭ななみは生き残りはしましたが「人狼」ではなく「村人」だったはずです。しかし今回の主演、土屋太鳳は「人狼」でした。そして「人狼」仲間と共に既にこのゲームに何回も参加しているということも早々とわかります。このあたり、第一作で桜庭ななみがゲーム終了後に再び目覚めると新たな人狼ゲームのスタートになっていたというオチがありましたので、そこのところは自明ということで処理したのでしょう。 続きを読む

鍵じゃなくて、ただのサラ

録っておいた映画「SARAH サラ」を鑑賞。

サラの鍵」ではなく、ただの「サラ」、インドネシアの映画です(公式サイトはこちら)。

  

物語は、最初ちょっとわかりにくいです。ある男が傷を負いながらも車を走らせている。そしてなんとか自宅(たぶん?)に帰り着いたものの、女刺客が襲ってきて、必至に闘うも、深手を負っている体では抗しきれず絶命。その直後、男の妻が帰宅し、床に横たわる夫の遺体を抱きしめ嗚咽。扉のところに幼い少女が二人を見つめている。

で、次のシーンはその十年後。幼かった娘は年頃になり、母親から武術の手ほどきを受け、女伊達らに(←この表現は女性差別かしら?)かなりの武闘派に成長。ところがこの母娘を狙っている影が……

またある刑務所では、女性が仲間の男性と面会中。そろそろ出所なのか、あるいは脱獄の打ち合わせなのか。直後に、その女囚は移送の途中で仲間が護送車を襲い、まんまと脱走。そのまま国外へ高飛びかと思ったら、娘を残しては行けないというセリフ。ここらあたりでなんとなく、最初の女性の子供だと思われていた武闘派の少女が、この脱獄犯の女性となんとなく似ている、たぶんこの二人がほんとうの親子なんだろうなあ、と匂わせます。

となると、武術を仕込んでいる女性は誰? どうして武術を仕込んでいるの? そしてどうして何者かに狙われているの? といった疑問がわいてきます。すると、武闘派母娘の自宅が何者かに銃撃され、二人は命からがら亡き夫が用意しておいたマンションへ逃げます。娘を取り戻そうと脱獄女性とその仲間もやってきますが、母娘も襲った連中も既にいなくなった後。

さて、武闘派の母は刑事の男性をなにかと頼りにしているのですが、その男性がいずれは大統領になろうかという男と接触。この男、いまでこそ政治家として名を成しているものの、かつては悪に手を染め、相当悪いことをしてきたらしい。そんな男がかつて愛した女性が脱獄した女性で、この二人の間にできた子供が武闘派の娘。どうやら、この刑事も頼りになる友人面をして、密かにこの母娘を監視していたようです。

ところで、なんでこの娘が武闘派の母の家で育ったのかと言えば、十年前、この大統領になろうかという男たちを、武闘派の母の夫たち刑事が逮捕に向かったものの返り討ちに遭い、夫は重症を負いながらも退却しようとし、たまたま脱獄女性が運転していた車が通りかかったので、その車を奪って逃走したのですが、その車の後部座席には幼い娘が乗っていたというわけ。このあたりの過去の解きほぐしはスピーディーで、あっという間です。

そして友達ヅラした刑事から呼び出しメールを母ではなく娘が先に見てしまい、一人で立ち向かっていきます。娘がいなくなったことに気づいた母もすぐに後を追いますし、脱獄女性とその仲間たちも娘を取り返そうと、大統領候補の男性とその仲間たちの元へ向かいます。

脱獄女性一派と武闘派の母は、特に面識があるわけでもなく、仲間というわけでもなさそうですが、とりあえず娘を助けたい一心で、ここでは共闘関係になり、共に政治家一味、悪徳刑事らを相手に銃撃戦を繰り広げます。銃の腕もよく、彼は少数とはいえかなり善戦し、ほとんど敵を倒しますが、その間に仲間は一人また一人と倒され、最後は脱獄女性と武闘派の母しか残りません。そして実の母も政治家、つまり昔の夫に倒されますが、その政治家を武闘派の母が助け、ジ・エンド。結局、少女は武闘派の母の元でこれからも生きていくのでしょう。

女子ーズ

少し前にCSで放送され録画しておいた「女子ーズ」を視聴しました。

桐谷美玲に有村架純、高畑充希、山本美月、藤井美菜といった人気の若手女優陣が、よくもまあこれだけくだらない映画に揃って登場したものだと感心しきりです。

が、休日に何も考えずに視聴するにはうってつけですね。素直に楽しめました。

ただ桐谷美玲の社内での空回りとか恋愛話とかは取り上げ方が中途半端だったなあ、という気がします。ああいうしんみりしたシーンは排除して、この際徹底的にくだらなさを極めてもよかったのではないでしょうか? それと、主役5人の個性がもう少し出せていたら、とも思います。キャラクター設定が似たり寄ったりだと感じたのはあたしだけでしょうか?

スペイン版13金?

録画しておいた「恐怖ノ黒鉄扉」を視聴。

冒頭、とあるパーティーのシーン。いじめられっ子ぽい少年が騙されてパーティー会場の建物のボイラー室に閉じ込められます(会場は簡易ホテルのようなところ)。「出してくれよ」と叫ぶ少年を笑いながらいじめっ子たちは行ってしまうのですが、その後、少女たちがシャワーを使い始めボイラーが作動し、ボイラー室は温度が上がり、閉じ込められた少年はその中で生きたまま焼き殺されるという悲劇になります。

そして時は流れ15年後。男女8名くらいのグループが夜道を車で走っています。疲れもあり、仕方なくどこから泊まるところはないかと思っていたら、15年前にパーティーがあったホテルにたどりつきます。もちろん彼らは15年前の事故も知らなければ、そのホテルは現在は廃業しているので、彼らは不法侵入するわけですが、そのホテルで、彼らが何者かに一人、また一人と殺されていきます。

はい、ここまでのストーリーを考えると、ホラー映画にありがちな「酒と薬とセックスにしか興味ないような、おバカな若者のグループが何者かによって殺されまくる」というストーリー展開です。とにかく訪れた人を片っ端から殺していくという点では「悪魔のいけにえ」的な映画が予想されますが、本作の場合、冒頭にこのホテルで少年が事故死とはいえ、事実上はいじめっ子によって殺されているという冒頭のシーンがありますから、その少年の悪霊が襲ってくるのか、その少年の親族が復讐しているのか、ということになります。ただし、最初から前者的な悪霊譚の雰囲気皆無で、生身の人間が起こしている事件という感じがはっきりわかるので、「13日の金曜日」の亜流であると思われます。

 

そういう目で見ると、本家本元の「13金」の場合、最後まで犯人であるジェイソンの母親は出てこないわけですが、本作の場合、殺されるべき運命にある若者たち以外の登場人物は、ホテルへ向かう前に燃料と食料の補給に立ち寄ったガソリンスタンドのおばちゃん、それとそこに居合わせた警察官しか出てきません。順当に行けば、このおばちゃんが15年前の少年の母親なのでしょうが、登場シーンではほとんど異常さは出てきません。カメラワークにしろ演技にしろ、この人が犯人と思わせるようなものは感じられません。

で、ホテルに忍び込んだ若者たち。一人ずつ殺され、残った四人は他の仲間が殺されたことを知りホテルから逃げようとするのですが、殺人鬼に先回りされ(というか、廃業したホテルは殺人鬼にとっては自分の庭のような勝手知ったる場所)まずは二人が血祭りに上げられます。殺人鬼としてはここで四人とも殺して起きたかったような感じですが、そこは映画ですからヒロインである女の子と、彼女に恋する奥手の男の子はうまいこと生き延びます。そして街道まで逃げたところで地元民の車に助けられます。すべての他人が怪しい、こいつが殺人鬼なんじゃないかと疑う男の子に対し、ヒロインは肝っ玉が据わっているのか、その車に乗せてもらい街まで連れて行ってもらうことにします。

最初から見ていると、「もしかしてこのオヤジが犯人? 確かに事故死した少年の父親っていう線もあるよね」という可能性は残っています。確か「ラストサマー」は犯人は殺された少年の父親だったはずですから。ところが、途中で車がパンクします。これも犯人によってパンクさせられたわけで、オヤジがタイヤを交換しているときに、車に積まれていた仲間の荷物を発見したヒロインたちは「やはりこのオヤジが殺人鬼?」と思い込んでしまい、男の子は荷物の中に入っていた拳銃を持ち、オヤジと相対します。このあたり、真犯人が密かに荷物を車に置いたシーンがあるので、見ているわれわれは「ちょっと待て、そのオヤジは真犯人じゃない。君たちははめられているんだ」と言いたくなりますが、ここで一つ疑問。

殺人鬼は、ヒロインたち二人がホテルから脱出できると予想していたのかということです。だって、車に乗せてくれたオヤジは真犯人ではなく、どうやら全くの善意の第三者のようです。仮にホテルを脱出できる若者がいることを真犯人が予想していたとしても、運良く車が通るということまでは予想できないと思いますし、ましてやその車の進む先に釘か何かを仕掛けておいてパンクさせるなんてところまで考えが回るとは思えません。それに、真犯人、ジェイソン並みのフットワークです。

話は映画に戻ります。結局、男の子とオヤジは、オヤジもライフを持っていたので相撃ちなります。一人取り残されたヒロインはなんとか最初のガソリンスタンドにたどりつきます。そこであのおばさんに介抱してもらうのですが、徐々におばさんの様子がおかしくなり、自分の息子が殺されたいきさつを話し始めたところでヒロインもすべてを察します。その前段階として、ヒロインたちはホテルの中で15年前の事故と、その後もこのホテルで若者が殺されるという事件が続いているという新聞の切り抜きを発見しているので、家族による復讐だとはわかっていたとは思いますが……

最後にヒロインと犯人であるおばさんとの戦いになりますが、おばさんの武器であるネイルガンを奪ったヒロインがおばさんにそれを向けた刹那、駆けつけた警察官がヒロインを射殺して終わりです。はい、若者たちは誰一人助からなかったのです。そしてまた疑問。ホテルで殺人事件が続けば、当然のことながら近所のガソリンスタンドのおばさんにも嫌疑がかかると思います。あの殺し方を見ているといくらでも証拠は残っていそうなのですが、スペインの田舎ではそんな徹底的な操作は行なわれなかったのでしょうか? あるいは最後にヒロインを売った警察官はグルなのか? これは本編を見ているだけではわかりませんでした。

というわけで、母親による復讐譚、それも直接息子を殺した連中だけでなく、遊びまくっている若者すべてに憎しみを拡大しているところは狂っているとしか思えないし、まさしく「13金」。ただ、「13金」ほどの緊張感はなく、そもそも犯人が一人では不可能な描写が多すぎるような。「13金」の亜流なので、13日だけど金曜日ではなく日曜日に鑑賞するにはちょうどよかったのかも知れません。

 

ちなみに邦題では「恐怖ノ黒電話」「恐怖ノ黒洋館」とシリーズのような括りになっていますが、まるっきり別ものです。そして「黒電話」の方は見たことがあります