人魚は怖い生き物?

録画しておいた「人喰い人魚伝説」を視聴。

インチキサーカスの団長がひょんなことから本物の人魚を手に入れ、それで一攫千金を企て大西洋を新大陸へ向かいます。が、美しい人魚は、実は人を喰らう恐ろしい化け物で、船の乗組員は次から次へと襲われていく、というストーリー。

前半は人間に捕われてしまった悲しい人魚の物語かと思いきや、後半になって徐々にその人魚が人を襲うようになります。それでもあんな扱いを受けたら、やはり見る方は人魚に肩入れしたくなるというもの。ヒロインだけが人魚の味方のように振る舞っていますので、たぶん彼女だけは生き残るのだろうなあということは早い段階でわかります。

が、最後の最後に近いところまで来て、人魚の真の目的がわかります。ここからはネタバレですが、人魚が人を食べるというのは別の話で聞いたことがあるような気もしますが、本作の人魚はまさしく人間をエサにして生きているのです。そして捕われていた人魚というのは、かわいそうな立場に置かれていた前半から中盤までは美しい姿なのですが、最後に人魚ではなく半漁人のような姿に変わってしまいます。これが彼女(?)の本当の姿だったのです。

つまり彼女は人魚の女王とでもいうべき存在で、人魚の島にいる子供たち(人魚たち?)のエサとなる人間を捕まえてくるのが目的だったのです。ですから、一人か二人の人間を自分が食べた後は船員を襲っても食べずにおきます。そして舵を失った船を操って、いつの間にか人魚の島に座礁させ、船員たちをエサとして、島で待っていた人魚たちに与えるのです。

うーん、あの美しい前半の人魚がこんな醜い姿になってしまうとは……

メガなのはピラニアではなくて……

録っておいた「メガ・ピラニア」を鑑賞。

まあ、タイトルからどんな映画なのかは予想できますが、その巨大ぶりったら、いくらCGとはいえ、「これはないわ」というレベル。

反米感情渦巻くベネズエラで、食糧自給率を上げるため(だったはず)に遺伝子操作の実験を繰り返していたアメリカの科学者が実験のミスからピラニアを巨大化させてしまい、すべて処分したはずが、処分しきれなかったものが逃げ出してオリノコ川で暴れまくり、更には大西洋に出てアメリカへ向かうというストーリー。それを必死に食い止めようとする科学者とアメリカの敏腕調査官。そして例によって、メンツだけにこだわり何かと邪魔をするベネズエラ国軍の大佐たち。こういった設定はジョーズ以来のおきまりですね。

しかし、しかし、そんなことよりも、この映画の見どころはティファニーではないでしょうか? (この映画にティファニーが出ているということは、見始めてからクレジットを見て知りました)

80年代、いや90年代でしたでしょうか? アメリカの歌姫として一世を風靡した歌手だったのですが、それがあんな、ただの太った中年のおばさんになってしまっているなんて……。リアルタイムでティファニーの活躍を知っていた世代のあたしとしては、かなりのショックです。

もちろん、当時特に好きだったというわけではなく、単純に当時の活躍を知っている、覚えているというだけの話なのですが、やはり同じ時期、このティファニーと人気を二分していたデビー・ギブソンがいたのを思い出しました。個人的にはティファニーよりはデビー・ギブソンの方が好きでした。歌もよかったですし、うまかったと思います。

で、この一世を風靡した二大歌姫が揃って動物パニックものに出演していたのも思い出しました。なぜ、こんな映画にばかり出ているのかは知りませんが、「メガ・パイソンVSギガント・ゲイター」という作品です。

これも以前に見たことがありますが、B級映画です。そして、やはり二人ともただの太ったおばさんでした。

「悪魔のいけにえ」を見ていて思いました、もし……

先日WOWOWで放送されていましたね、「悪魔のいけにえ」の公開40周年記念版。ついつい見ちゃいました。

それにしても、たぶんこれが最初、あるいは最初期の作品なのだと思いますが、登場人物(たいていはバカな若者)が数名で旅行をしていて、いつのまにか殺人鬼のテリトリーに入ってしまい、一人また一人と殺されていくというストーリーは、この手のホラーの定番ではないでしょうか。

こういう作品を見たときに必ず思うのは、「もし狙われたのがこんなバカな若者ではなくて、ブルース・リーとか、ジャッキー・チェンとか、あるいはジョン・マクレーンだったらどうなっているんだろう?」ということです。少なくともあんな簡単に殺されるということはないでしょうね。

 

たぶん展開としてはシュワちゃんが主演した「プレデター」のような感じになるのかしら、とも思います。そうなると、結局は殺人鬼も倒されないのでしょうかね?

ただ、こうした殺人鬼、全くの人間である場合と、ジェイソンやフレディのように人間ではなくゾンビ化している場合とがあり、さすがにジャッキー・チェンでもゾンビとは戦えないのではないかと思います。ジェット・リーなら勝てるかしら?

と、わかりやすい(?)ように洋画などの俳優を並べてみましたが、実はあたしが本当にイメージしているのは別な人物です。最初に挙げた「悪魔のいけにえ」でもそうですが、だいたい殺される側のグループというのは6人から8人くらいです。その他にも行きがかりで殺されてしまう人もいますが、とりあえず旅行をしている仲間としてはそんな人数が相場です。

で、思い出すのが水戸黄門主従です。ジェイソンが襲ってこようが、レザーフェイスが襲ってこようが、助さんと格さんがいれば問題ないでしょう。いざとなったら弥七もいますし。八兵衛だけが不安要素ですが、たいていはご老公か由美かおる(お銀)のそばにいて助けてもらえるので、なんとか生き延びるのではないかと予想します。

とまあ、あたしはホラー映画を見ていると、たいていはそんなことを考えながら鑑賞しています。

天使は天使らしく、悪魔は悪魔らしく

いよいよ本日で盆休みも終わり。

ただ、あと一日、夏休みを各自自由に取りなさいという勤務先のお達しもあるので、今月中にもう一日休もうとは思っていますが、会議とかイベントとか、意外と休みが取れないのよね……(涙)

閑話休題。

雨が降りそうで降らない本日、視聴したのはこちら、「ダークウォッチ 戦慄の館」です。

怪しげな洋館、人の死に様が見えてしまう主人公。こういう設定から予想されるのは、この主人公が自分の出生の秘密を解くため洋館に乗り込み、そこに巣喰う悪魔を退治して、自分の忌まわしい能力とも縁を切るというストーリー。

が、話は後半になるとどんでん返しです。なんと主人公は悪魔の子。例の洋館は悪魔たちを封じ込めている場所。途中で主人公が知り合った測量隊や立ち寄った街の連中は悪魔。そして洋館で主人公たちを襲ってきた斧を振りかざす連中は天使、洋館に住む浮浪者のような男も悪魔を封じ込めている側の人。

なんという意表を突いた設定でしょう。ただ、そう聞かされると、斧で襲ってきた連中が測量隊を狙っていたのも納得です。主人公を襲わなかったのは、彼が完全には悪魔の子ではなかったから、あくまで悪を解き放つ鍵を握るだけの存在で、まだ悪魔にはなっていなかったからでしょうか?

さて、エンディング。結局主人公も悪魔の側になってしまい、主人公の恋人(身重)が浮浪者っぽい男に助けられます。たぶん主人公は、この浮浪者っぽい男に倒されてしまったことでしょう。この男の活躍で悪魔が解き放たれるのは阻止できたようです。

しかし、身重の彼女が生んだ少年、彼には悪魔の子の血が流れているわけですよね。それでやられてしまった主人公同様、悪魔の囁きが聞こえるようです。この子がもう少し大きくなって、たぶん主人公と同じく23歳になったときに、父親と同じような運命が待ち受けているのでしょう。そして、あの浮浪者のような男がやはり助けてくれるのかもしれません。

が、やはりいまひとつわかりにくい作品でした。

悪霊の仕業か、人間の仕業か?

本日は「死霊高校」を視聴。もう見飽きた感のあるPOVの映画です。

簡単にあらすじを紹介しますと、舞台は20年前の、とある高校の文化祭(かな?)。この映画の原題でもある「GALLOWS(=絞首刑)」という劇の上演中に、誤って本当に役者を演じていた生徒が首を吊って死んでしまうという事故が起きます。そして時は流れて現代。忌まわしい記憶の残るあの劇を再び上演することになった高校生たち。しかし、演技に不安を抱えた主人公が友人に唆され、上演前日の晩に学校へ忍び込み、舞台装置などを壊して上演できないようにしようとします。しかし、そこで恐怖の体験をすることに……

POVの場合、どうしてもビデオを回し続けないとならないわけで、多くの作品では「この状況でよくビデオを回していられるなあ」ということが気になるのですが、本作の場合、灯りのつかない体育館(講堂?)なので、ビデオをつけることで懐中電灯代わりにするという役回りになっています。それはそれなりに説得力がありますが、例によって、ビデオを回している生徒がウザイです。アメリカのティーエイジャー・ホラーにありがちな、うるさいだけで早々と殺人鬼に殺されてしまうタイプ、まさしくそれです。

それはともかく、本作の場合、20年前に事故で死んだ生徒の霊が襲っているようなのですが、途中で、現在の上演で主人公をやる男子生徒の父親が、20年前に本来は絞首刑になる主人公を演じるはずだったことがわかります。父親が当日なぜ役を代わることになったのかは語られていませんが、そのために急遽代役で主人公を演じた生徒が死んでしまったのですから後味が悪いでしょうね。

で、そんな因縁など知らずに主人公を演じることになった男子生徒に対し、ヒロイン役の女子生徒は実は20年前のヒロイン役の女子生徒の娘。なおかつ20年前の事故で死んだ男子生徒が恋人であったようなので、現在の部のヒロインは20年前に亡くなった男子生徒の娘でもあるような、ないような……

結局、この母娘が事故とはいえ死んだ恋人(娘から見たら父親)の恨みを晴らしたのが今回の事件の真相のようですが、かなりの怪力が見られたり、科学的に説明しづらいところも多々あるので、やはり死んだ生徒の怨霊も一枚噛んでいるようです。というよりも、よりホラー映画らしく解釈すれば、死んだ生徒の霊が、自分の恋人と娘を使って恨みを晴らしている、ということでしょう。

問題は、では死んだ生徒、確かに非業の死ですけど、別に誰かに仕組まれて殺されたとか、死んでも誰も悲しまなかったとか、そんなことはなかったはずです。その証拠に、この作品の上演を20年も封印していたわけですから。それを今になって(死んだ生徒の霊の力によって)再演させたとするならば、再演した理由はなんなのでしょうか? 自分が事故死することになったきっかけを作った級友の息子に復讐するためでしょうか? いや、だったらその級友(主人公をやることになった男子生徒の父親)は健在でピンピンしているわけですから、彼本人に復讐すればよいのではないでしょうか? なんで息子なのでしょう? このあたりがわかりません。

そして、そもそも事故で死んだ生徒、恨みを抱え怨霊化するような死に方だったでしょうか? そのあたりの説明がやや手薄です。それとも当時恋人だった女性の悲しみと未練などが混ざりあって、恋人の霊を成仏させなかった(キリスト教で成仏という表現も変ですが……汗)のでしょうか。そしてそのために恋人の霊は悪霊化してしまったのでしょうか?

こんどは韓国ホラー

殺人漫画」視聴。

韓国のホラーです。人気のウェブ漫画が、そこに描かれているとおりに殺人事件が起こることから始まる作品です。なんで漫画のとおりに人が死ぬのか。ですから、それは自殺なのか他殺なのか、決定的なところはありません。種明かしをすると、主人公であるマンガ家が亡霊たちと交信し、彼らの声を聞いてそれを漫画に描いているということ。亡霊たちはマンガ家を焚きつけて作品を描かせ、自分たちはその通りに殺人を実行している、ということのようです。亡霊の仕業ですから、自殺の理由が見つからなくても、他殺の証拠が残っていない以上、警察としては自殺として処理するほかないでしょうね。

さて、亡霊の仕業ということにすると、主人公であるマンガ家の行為に前半と後半で辻褄が合わないところがある気もしますが、これは犯人を追う刑事にも言えるのですが、皆が皆、自分の過去の過ちをなかったことにして忘れ去っていたわけで、それをこの事件によって(亡霊によって?)思い出させられたということのようです。

結局最後は、亡霊たちに魂を売った主人公のマンガ家だけが生き延び、それ以外の連中は死を免れ得なかったことになります。亡霊にサジェスチョンを受けていたことや、過去の殺人まで思い出してからの主人公は、逆に清々とした涼やかな顔をして、かえって怖いです。

アパートの契約は慎重に?

アパートメント1303号室」視聴。もともとは「1303号室」という邦画ではなく、アメリカ資本の制作なので扱いとしては洋画になるのでしょうか、とにかくそれがあって、この作品はリメイクということになります。

 

さてストーリーですが、かつての栄光から抜け出せず、落ちぶれて酒浸りになっている元歌手の母。そんな母の束縛に耐えきれず家を飛び出した娘がアパートを借ります。姉は妹が一件目の物件を契約してしまったことに文句を言いつつも、妹の一人暮らしを応援しつつ、自分は母の元を逃れられないことにいらだちを覚えています。

さて、そんな妹が越してきたアパートの部屋はなんか不気味。悪臭も漂い、隣近所の住民も胡散臭さ満点です。そして、見えない影におびえるような妹は引っ越し二日目の晩、恋人が部屋を出た直後にベランダから転落死。姉は妹が自殺などするはずはないと、そのアパートにやってきて死の真相を突き止めようとします。

あたしは中越典子主演のオリジナルは見ていません。ネットなどを見る限り、本作はオリジナルにかなり近いような印象を受けますが、どんなところが違うのでしょうか?

さて、妹の死の真相ですが、妹の恋人は刑事で、姉と一緒に死の真相を突き止めようとアパートに泊まり込みます。が、これは実は姉が真犯人ではないかという疑惑を抱いていて、その証拠を得るために近づいたというのが本当のところでしょう。姉はクスリもちょっとやっていたようですし、最後にはアパートを訪ねてきた母を殺してしまいますから。

全体としては、この部屋にかつて住んでいて、母親に虐待された挙げ句、その母を殺し、腐乱死体の悪臭を住民に通報され、警察が踏み込んだときにベランダから飛び降り自殺した娘の悪霊が部屋に取り憑いていて、越してくる人を次々に死へ追いやっている、ということになっています。

が、本作に関わるところだけを見ると、これは完全に精神がいかれてしまった姉の凶行としか言えません。この部屋でかつて人が何人も死んでいるなんて聞かされたら、心の弱い人ならおかしくなっても不思議ではないでしょう。特に主人公の場合、母との関係で疲れはてていたわけですから。

あとは、もう少しじわじわとした恐怖の演出が欲しかったところですね。隣近所の住民も一癖も二癖もありそうなのに、肝心なところで活かしきれてないですし。

あまり怖くない

録りだめてあった映画を鑑賞。まずは「戦慄迷宮」です。

監督は清水崇で、出演者も柳楽優弥、蓮佛美沙子、勝地涼、前田愛といった、そこそこ知られているメンバー。しかし、怖かったかと聞かれたら、「まあ、怖がりな中高生なら震えるかな?」といった程度。子供のころ、幼なじみであった主人公たち5人は、母親と遊びに来た富士急ハイランドのお化け屋敷にこっそりと忍び込みます。案の定怖くなってお化け屋敷の中を走り回っているうちに、一人が階段から落ちてしまい瀕死の重傷を負います。しかし主人公たちは怖くなり、その子を助けずに逃げてしまいます。そのまま一人見つからずに時代は10年後の現在へ。大人になった主人公たちが再び再会すると、お化け屋敷でいなくなったはずの子が現われ云々。

主人公は再び十年前のお化け屋敷に連れ込まれることになり、現在と10年前とが交差するようにストーリーが進みます。そして、幼なじみが一人死に、二人死に。主人公の柳楽優弥は警察で取り調べを受けているのですが、ただ一人生き残ったという設定。ただし、これは完全に彼の妄想で、警察官には柳楽優弥が友人たちを殺した、と思われています。

恐らく、そうなのでしょうね。彼はこの十年間、お化け屋敷に置き去りにしてしまった子のことをトラウマとして抱えていて、精神的に情緒の安定性を欠いていたようなところがあります。恐らく、久しぶりに故郷に戻ってきて幼なじみに再会し、何かがプツンと行ってしまったのではないでしょうか? ちなみに、主人公も含め友人たちは幼なじみの一人を置き去りにしてしまったと信じていたようですが、警察はきちんと調べていて、子供たちを保護した後(←遊園地で子供たちがいなくなったので母親たちが捜索願を出していたのでしょう)、ちゃんとお化け屋敷の中も調べ、ケガをして瀕死の重傷を負った少女も救出しています。ただし、意識不明で10年後も目を覚まさずに入院しているというのが真相。あまりにもショッキングな事実なので親は子供たちにこの事実を隠していたようです(←じゃあ、神隠しにでもあったと言い含めていたのでしょうか)。

いずれにせよ、時代が過去と現在を行ったり来たりしすぎて、主人公の心理サスペンス的には面白いと思いますが、ホラーとしてはまるで怖くなかったです。次は「呪い襲い殺す」です。

タイトルがすごくベタですが、簡単に言ってしまうと「コックリさん」を題材とした洋画です。いかにもこの手のアメリカ映画にありがちな、男女数名のホラーです。

コックリさんをやった後、なぜか自殺をしてしまった親友。その死の真相を突き止めようと、友人やボーイフレンドたちがコックリさんをやって親友の霊を呼ぼうとしますが、親友を死に追いやった悪霊が彼らに取り憑いてしまうという話。

その亡くなった親友の家にかつて住んでいた女性は霊媒師で、娘を依り代のように使っていたのですが、娘に悪霊が取り憑いてしまったため娘を殺し、屋敷の地下室に隠したわけです。が、妹を殺された姉がその母を殺し、いまは精神病院に入院させられているという、40年か50年ほど前の話が伏線としてあります。

妹を助けて母親の霊を倒せば呪いは収まると、精神病院に入院している姉から聞いた主人公たちは、地下室の遺体を見つけて封印を解き、母親の霊を倒したのですが、呪いは収まりません。なんと悪霊と化していたのは母親ではなく妹の方。母親は霊媒師として娘を閉じ込めていたというわけです。悪霊と化した妹が姉を使って主人公たちを焚きつけ、自分の封印を解かせたという次第。

結局、妹の遺体とコックリさんをやるための盤を燃やして一件落着のはず、という余韻を残したエンディングです。主人公には反抗的な妹がいて、悪霊と化したかつての姉妹とシンクロするような気もするのですが、そういった趣向がまるでなかったのはもったいないところです。

そういえば、あたしが小学生のころ、コックリさんがクラスでも大流行していました。特に呪われたとか、おかしな現象が周囲で起こったという話は聞いていませんが……

呪怨

WOWOWで「呪怨 終わりの始まり」「呪怨 ザ・ファイナル」をつづけて放送していたので録画して視聴。

 

とはいえ、佐々木希主演の「終わりの始まり」は以前にも放送され既に視聴済みだったので、今回は平愛梨主演の「ザ・ファイナル」の方を。前後編という作品ではありませんが、「ザ・ファイナル」は完全に「終わりの始まり」の続編、後日談となっています。やはり両方視た方がストーリーはわかりやすいとは思いますが、かつての「呪怨」を視ている人がこの作品を視たらどう思うでしょうかね?

まず「終わりの始まり」の方は念願の小学校教師になった佐々木希、でもクラスに一人、登校してこない生徒がいます。生徒が俊雄くんです。その子の家庭を訪問したりするうちに、佐々木希の周囲でおかしなことが起こり始め云々、というストーリー。いくつかの物語が並行して描かれるところは一番最初の「呪怨」のようです。

が、怖くないです。既にパンツ一丁で真っ白な体の俊雄にしろ、ちょっと貞子っぽい伽耶子にしろ、散々見てしまっているからでしょうか? この家に越してきた佐伯夫妻。子供が出来ないのを気に病むうちにノイローゼになってしまう妻・伽耶子。そしてようやく子供を授かるも、夫はその子が自分の子なのか確信が持てず、伽耶子の言動もあって衝動的に伽耶子を殺してしまいます。そして、たぶん俊雄も……

このあたりのストーリーは最初の「呪怨」をなぞっていると思いますが、なぜか怖くない。おどろおどろしい映像もなく、俊雄も伽耶子も、いくら見ても怖くないです。かといって、追い詰められていく佐々木希たち登場人物の恐怖というか、そういうものもやや不足。

で、「ザ・ファイナル」です。

今回、伽耶子と俊雄の呪いの宿る屋敷は壊されてしまっています。更地になっているのです。これは前作にも出てきた袴田吉彦がなんとか呪いを終わりにしようとした結果なのですが、なんのことはない、おのののかの家が俊雄と伽耶子の新たな棲み家となってしまいました。そして平愛梨が尋ねてくるのですが、結局何もできず、彼氏も取り殺され、ジ・エンド。

今回も怖くないです。ゾクゾクしません。

そもそも怨念って人に憑くのか、場所に憑くのか? これまではその家を訪ねた人に取り憑いてたと思いますが、だったらその家を壊した工事関係者は無事だったのでしょうか? ストーリー的には、取り壊される前に既に俊雄と伽耶子はおのののかの家に移っているということなのでしょうか?

あるいは伽耶子の妊娠ノイローゼ日記が佐々木希の遺品から平愛梨のもとへ巡ってきます。平愛梨とその彼氏の状況を考えると、これを読んだら取り憑かれるようなのですが、だったら佐々木希はこれを学校に置いておいたわけですから、同僚の一人くらいは読んでいないのでしょうか? そもそもあれだけの呪力、読まなくたって周囲に何らかの影響が出そうな気がしますけど。

おのののかの同級生、向かいの病院に入院している少女、どう見ても「あれくらいで取り憑かれるの?」というレベルです。どうしたら取り憑かれるのかのボーダーがはっきりしていないモヤモヤが残ります。そして「ファイナル」とは言いながら、平愛梨の最後のセリフにあるように「終わらない」ラストはどんなものなのでしょう?

一時は世界をリードしたジャパニーズ・ホラーも、ここまでつまらなく、否、怖くなくなるとは……

満月のくちづけ

ちょっと前にWOWOWで放送されていた「満月のくちづけ」を視聴。

1989年の作品だそうですが、当時こんな作品が公開されていたなんて、まるっきり記憶にありません。今も昔もそうなのですが、あたしがあまり深津絵里に興味がないからかもしれません。

で、本作はホラーというよりは、アイドル映画の一種なのではないでしょうか? だってプロデュースが三宅裕司ですし、小倉久寛も出てくるし、そもそもほとんど怖くないので。

ストーリーは、深津絵里扮する女子高生が寺脇康文扮する学校の美術教師に淡い恋心を抱くという、ピュアな純愛ストーリーっぽいのですが、だったら、その線で行けばよかったのに、中途半端にホラーにしてしまったからずっこけてしまってます。冒頭の湖のシーン、あの少年は何だったのか? 友達と一緒に呼び出した悪霊は本当に呼び出せていたのか? 何人も死んでいるのに、死体が一切見つからないのはなぜか?

といった疑問が多々あります。フツーの感覚として、クラスメイトがいなくなったとして、一時間程度ならサボリと考えるでしょうが、その後一切現われなかったら、警察に相談するものではないでしょうか? 主人公たちは仲良し四人組のようですが、その中の一人がいなくなっても特に日常に変化があったようには思えません。

プールに浮いていたウサギの死体だって、当然警察が動く案件のはずです。もちろん私学ですから、学校のイメージダウンを気にして、あえて外部には漏らさないというのはありでしょうが、先生がいなくなっているのに(悪霊に殺された?)、学校がいつもどおり運営されているのもおかしなものです。挙げ句の果てに、教室内で火を焚いている寺脇康文。

結局、悪霊っていたの? 主人公たち以外の生徒にとって、この一連の事件はどう受け止められていたのか、まるでわかりません。もし、これで多感な時期の少女の揺れる心の内を表現しているのだとしたら、あまりにも雑な描き方だと思います。

これは熱烈な深津絵里ファンなら見逃せない、若かりし深津絵里の想い出でしょうが、ホラー映画ファンとしては、これをホラーにカウントするのは無理です。やはりアイドル映画ですね。深津絵里の若さは弾けていますし、確かにかわいらしく撮れているとは思いますが。