録りためておいた映画鑑賞。「ホーンテッド・プリズン」と「MAMA」です。
まずは「ホーンテッド・プリズン」から。
大学を卒業して久しぶりに同窓会キャンプに向った男女七人が、廃墟となった刑務所近くの墓地で、殺人鬼の悪霊に取り憑かれ殺されてしまうという、ありがちなホラーです。悪霊が人から人へと乗り移っていくのは斬新かも知れませんが、目の色とか表情、様子で誰に乗り移ったかがすぐにバレてしまうのはどうなのでしょう? この手のアメリカ若者ホラーにおきまりのエッチなシーンもあり、ドラッグでラリっているのも出てきて、そのあたりは定石どおりです。そして一人、また一人とコロされていくのも予定どおり。
途中で、悪霊の正体を知る、廃刑務所の元守衛が出てきて若者を救うのですが、結局彼も自分自身では何もできず、若者の一人に元刑務所長の霊を憑依させて殺人鬼の悪霊と闘わせるとは、「あれ?」という感じです。ただし、この二体の霊を飲み込んでみずからの命とともに葬り去ろうという覚悟は立派なのですが、結局、殺人鬼の霊はいつの間にか逃げ延びたはずの主人公に取り憑いていたというオチでは、あの闘いは何だったのか? 映画が当たれば第二弾を考えていたラストなのでしょうか?
続きましては「MAMA」です。
タイトルどおり「お母さん」が重要なんですが、この作品はホラーというよりも家族愛を描いた哀しい作品といえます。
同僚と妻を殺し幼い娘二人を連れて逃げた男性。深い森の中の古びた小屋で娘を殺して自分も死のうとしますが、すんでのところで何者かによって襲われ行方不明に。たぶん、何者かに殺されてしまったのでしょう。この「何者か」がママです。正体は森に住む悪霊です。
さて、五年たって、先の男性の弟が失踪した兄とその娘二人を懸命に探していますが、遂に森の中の小屋で娘、つまり彼からすると姪を発見します。5年間二人がどうやって生き延びたかわかりませんが、ほぼオオカミ少女と化していた二人。姉の方はそれでも少しは言葉を解し、少しずつ人間社会になれていきます。このおじさんが恋人ともに二人の姪を引き取り、一緒に暮らし始めます。そして精神科の先生が二人の姪の治療と観察にあたります。
当初、精神科医は姪二人が孤独に耐えるため「ママ」と呼ぶ架空の存在を作り上げ、その「ママ」に育てられたと思い込んでいたと診察するのですが、徐々に「ママ」というのが実在し、かつて小屋の近くに存在した精神病院から逃げだし、子供とともに崖から飛び降り自殺した女の霊であることが判明します。この時、抱えていた赤ん坊が掛けの途中の木の枝に引っかかり、女だけが湖に落っこちたわけで、そこから女は死んでも子供探し続ける悪霊になってしまったようです。で、たまたま小屋にやってきた女の子二人を見つけて面倒を見てやったいたらしいのですが、悪霊がどうやって育てていたのか、不思議です。
ただ、子供を思う母の気持ちが前面に出ていて、主人公もおじさんは途中で襲われて昏睡状態になってしまうので、大して活躍はしませんが五年も行方を捜し、見つかったら引き取ると主張するところはなかなか父性愛にあふれている人です。また主人公の恋人(たぶん映画としてはこっちが主人公?)も、結婚もしていない恋人(それも、そろそろ縁の切れ目かなと思っていた?)の姪を引き取る羽目になって、最初は嫌で嫌でたまらなかったようなのが、一緒に暮らすうちに母性に目覚め、最後は命を張って悪霊の「ママ」と対決するなんて立派です。
悪霊だとも理解できず、素直にママを慕う子どもたちがけなげです。最後、姪っ子二人のうち、姉はおじさんたちと暮らす道を選び、ママの手をふりほどきますが、妹はママと一緒に行くと言って笑いながらついていきます。そしてママと妹は崖から落ちていくのです。
えーっ、この手の映画なら、フツーは姉妹二人とも助かってハッピーエンドにするでしょ? なんで一人だけ助かって一人は助からないの? という最大の疑問にして、最大の悲しみ。
でも、そうか、妹の方は結局ママが悪霊だとわからないわけで、いきなり現われた見ず知らずの人よりも、5年間育ててくれたママを選んだわけなのよね。だから最後、ニコニコしてママについていったわけですし。でもなあ、やっぱり、哀しい結末です。こういう不幸な境遇に置かれた子供を出してくると、ホラーと言えども哀しい、泣かせる作品になってしまいますね。