ミニチュアの妻

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中毒になりながらもベスト3を!~読『ミニチュアの妻』~

藤野可織さんも帯で褒めてくださっている『ミニチュアの妻』ですが、期待どおり中毒にりそうです。

それでも強引にこの中のベストスリーを挙げるとすれば、

まず第3位は「オオカミだ!」 この哀しみに満ちあふれた残酷性がたまりません。それにしても息子の冷静さときたら、よくもまあここまで恬淡としていられるものだと……。いや、胸中察するにあまりある。きっとこんな態度を取っていないと精神のバランスを崩してしまうのでしょうね。

第2位は「僕のすべて」、オフィス勤めをしているゾンビの「僕」の身悶え。これってモテない男性が好きな女の子に何とかして気づいて欲しい、振り向いて欲しいと妄想を逞しくするときと状況が極めて似ているのですが。そんなところにシンパシーを感じます。

そして第1位は、やはり「ミニチュアの妻」です。装丁やタイトルからほのぼのとしたメルヘンを期待して読み始めたら、あにはからんや。とんでもない展開。よくもまあこんなストーリーを考えつくものです。これって、ある意味、現代版「人形の家」なのでは?

星に願いを?

月に願いを、星に祈りを、と歌ったのは今井美樹でしたっけ?

そんな星つながりではないですが……(汗)

 

「ボラーニョ・コレクション」の最新刊『はるかな星』の見本が出来てきましたので、早速購入。

本書は、先に出た『アメリカ大陸のナチ文学』のスピンオフと言いますか、姉妹編と言いますか、とにかく因縁浅からぬ関係にある作品なので、未読の方はこの機会に併せてお読みいただければと思います。

で、「はるかな星」というこのタイトルを見るとあたしの頭の中に流れる曲は「PRIDE」ではなく「他の星から」です。なんで音楽が流れるんだ、と聞かれても、もう条件反射になってしまっているから仕方ありません。

星と言えば、こんな本も!

星の文化史事典』です。

ヒリヒリ感、ちょっと少なめ?

宮木あや子さんの新刊『喉の奥なら傷ついてもばれない』読了。短編集です。

宮木さんと言えば、あたしの個人的な印象では、これでもかというくらい主人公(多くの場合、美少女)が痛めつけられ傷つけられ、まるで救いのない深みにどっぷりとはまってしまうような作品を思い描くのですが、そういう先入観で読み始めると、今回の作品はそれほど痛い感じはありません。

では、本作はどんな感じなのかと言いますと、一見普通に、そしてささやかだけど平凡な幸せを享受しているかに見える主人公が、ちょっとしたことから道を踏み外してしまうというストーリーが集められています。この踏み外し方が、もちろんパートナーに原因があったりもするのですが、どちらかというと踏み外す主人公自身に原因があり、その原因というのも、そんなことで今享受している幸せを壊してしまうのですか、と言いたくなるような事例ばかり。

ストレス社会に生きる女性たちはかくも脆いものなのか。

そんな中、もっとも印象的で湿度も高く、後味の悪さが最高だったのが最後の一編。この作品、と言うか、この親子(母娘)、きっとループしますね。いや、もっと狂気の世界に堕ちていきそう。そんな予感を感じさせながら終わります。