月末に『メルロ=ポンティ哲学者事典 第一巻』が配本になります。
『第三巻』『第二巻』と刊行し、ようやく最初の巻である『第一巻』にたどりつきました。これでメルロ=ポンティが編纂した哲学者事典は完結、『別巻』はメルロ=ポンティ以降を、その体裁に倣って日本の訳者の方々が補ったものになります。
なぜ第一巻からではなく第三巻から刊行したかと言えば、十九世紀、二十世紀の思想家を中心とした第三巻が一番読み応えもあるのではないかという判断でしたが、読者や書店からは「第一巻と第二巻が入荷していないのですが……」という問い合わせが何件かあり、やはり多少の混乱を招いてしまったところはあるようです。それもこの『第一巻』が刊行されればほぼ解消するでしょう。
とはいえ、あたし個人としてはこの『第一巻』が一番楽しみな巻でした。なにせ東洋哲学が収録されている巻ですから。
目次の一部、あたしの専門とする中国哲学の部分をご覧いただくと上の写真のような具合です。最初にインドの哲学が来て、その次が中国、そして古代ギリシアと続きます。
中国哲学で大きく取り上げられているのは、孔子でも老子でもなく、荀子と荘子というところにセンスを感じます。その他にもどういう人物を立項しているか、非常に興味深いです。やはりフランスの学者だから西洋哲学に紙幅を割いていて、東洋はこの第一巻にコンパクトにまとめられてしまっているのが残念ですが、致し方ないでしょう。