ずいぶん前に録っておいた「ドリームハウス」を視聴。
かつて一家惨殺事件のあった家に越してきた幸せそうな一家。という設定からして、家に悪魔が取り憑いているのか、はたまた殺された家族の霊がこの家族を襲うのか、そんなストーリーを予感させます。
主人公は007シリーズのダニエル・クレイグですが、彼が長年勤めた会社を退社し、家族と一緒に執筆生活に入るところからスタートします。なんとなくよそよそしい隣人の様子。怪しい人影に怯える幼い娘たち。そこで彼はようやくこの家が、かつて一家惨殺事件があった曰く付きの家だということを知ります。
そして、その事件の顛末を調べていくと、娘と奥さんを殺した夫は精神病院に入院中とのこと。その病院を訪ねるも犯人は既に退院(治療施設なので退所?)していたという事実を知ります。主人公は、わが家の周りをうろついているのは退所した犯人で、自分たち一家を殺そうと狙っているのだと見当を付けます。
ところが、更に犯人付いて調べていくと、なんとその犯人とは主人公のことだということがわかります。つまり、会社を辞めたのは施設を退所したことを自分なりに解釈していたというわけ。かつての家は実際には人が住めるような状態ではなく放置されたボロボロですが、主人公には明かりが灯り愛する家族の住むわが家に見えるのです。このあたり、主人公は完全に精神を病んだままです。死んだはずの家族が見えるわけですから。
そんな主人公を見張るような、見守るような向かいの女性、ナオミ・ワッツ。彼女は娘と二人暮らしで、別れた夫とは娘の親権を巡って調停中のようです。そんなナオミ・ワッツの助力もあって、主人公は少しずつ記憶を取り戻していきます。本当に自分は家族を殺したのか、と。あの夜、わが家で一体に何が起きたのか。
とまあ、奥さんや娘は死んでいて、主人公にしか見えないという夢オチ的なネタバレは、実は映画の半分くらいのところで明かされます。となると、残りは一家惨殺の真実を主人公が突き止めるストーリーになるわけですが、これが意外と単純な結末です。
ナオミ・ワッツは主人公一家とは仲良しだったのですが、密かに主人公に思いを寄せていました。そんな元妻の気持ち(この時点で元妻だったのか、まだ妻だったのかは不明)に嫉妬した夫が見ず知らずの男を雇って妻(ナオミ・ワッツ)を殺そうとします。しかし、似たような家が多かったからでしょうか、雇われた男はナオミ・ワッツの家ではなく、主人公の家に忍び込んでしまい、見つかって家族を殺したというのが一家惨殺事件の真実です。瀕死の妻が落ちていた拳銃で、犯人と格闘する夫(ダニエル・クレイグ)を誤って撃ってしまい、そこから夫が娘と妻を殺したものの、土壇場で妻に打たれて瀕死の重傷を負った、という一家惨殺事件のストーリーが出来上がったようです。
九死に一生を得た主人公はなんとか社会復帰したものの、記憶は戻らず自分を別な人間だと思い込んでいる始末。ナオミ・ワッツの力を借りて記憶を取り戻し真実を知ったところに、主人公が記憶を取り戻しては困る真犯人(ナオミ・ワッツの元夫)と実行犯が二人を亡き者にしようとします。二人が相撃ちになって、家から出火して二人とも死亡という筋書きを書いたのですが、主人公の亡き妻の霊が加勢して、主人公は間一髪でナオミ・ワッツともども助かり、逆に新班にと実行犯が燃えさかる家の中で焼け死ぬことになります。
完全に記憶と真実を取り戻した主人公は、燃えさかる家の中で、妻と娘たちの霊たちに、こんどこそ最後の別れを告げ、焼け落ちようとする家から脱出し、ジ・エンド。うーん、ナオミ・ワッツと結ばれたのでしょうか? それに主人公の娘たちが愛らしくて、そして切ないです。
ホラーでもミステリーでもなく、どちらかというとお涙頂戴の家族もの映画ではないでしょうか?