あたしの勤務先から出ている台湾小説『歩道橋の魔術師』は1970年代から80年代の台北が舞台の作品です。主人公とでも呼ぶべき場所が台北駅に隣接してあった「中華商場」という建物です。
この中華商場は既に取り壊され、今どきの若い台北人には知らない方も多いでしょう。もちろんあたしも小説の中だけでしか知りません。ただ、同書のカバー写真にもその建物は写っていますし、ネットを検索すれば写真や映像などが見つかりますので、なんとなくどんなものであったのかはわかります。が、昨日までの研修旅行で「これが中華商場なのではないか」と思われる建物を見つけてしまいました。
それが岐阜の駅から歩と近い問屋町街です。ちょうどすぐ前のドーミーインに泊まったのですが、その眼下に広がっていたのが問屋町街で、その建物があたしのイメージする中華商場そのものでした。
あいにく今回は天気も悪く、写真は撮りませんでしたが、数年前に同所を訪れた方のブログを発見しました。そのページの5枚目の写真がまさしく中華商場といった雰囲気を味わわせてくれました。日付は2015年5月とありますので、ほぼ2年前ですね。でも、今も全く変わっていません。多少は風雪による痛みがひどくなっているかも知れませんが、あたしが数日前に見た光景そのままが写真に写っています。
なんかタイムスリップしたような気分でした。『歩道橋の魔術師』を読んだ人なら、あたしが味わったこの感覚に共感してもらえると思います。そして、魔術師は本当にいそうな、そんなところでした。