梅雨というのに雨はあまり降らず、いや、先週の東京はかなり天気が悪かったようですね、あたしが関西にいて雨に降られなかったので、なんとなく雨の少ない梅雨という印象が強いのですが、とにかくそのせいで、暑いというよりは寒い休日です。そんな日のホラーはこちらの2本。
まずは清水崇監督の「7500」です。アメリカ映画ですが、清水崇監督なので日本映画と言ってもよいのか、どうなのでしょう?
内容は東京へ向かう旅客機7500便の中で起こるホラーです。
若干閉所恐怖症、それとも飛行機が苦手なのでしょうか、そんな胡散臭い男性が発作を起こして機内で死んでしまいます。その後、乱気流に巻き込まれた飛行機は酸素マスクが下りてくるほどのパニック状態。辛うじて乱気流をやり過ごし、機内の気圧も安定したところへ、おかしな現象が続くようになります。怪現象というやつですね。
最後はネタばらしになりますが、事実は最初の乱気流で気圧の低下、酸素の不足により、機内の人は乗務員も含め全員死亡、機体は自動操縦でとりあえず飛び続けているという状態。主人公らは自分が死んだことに気づかずに浮遊している霊だったというオチです。だから、この世(未来)への未練がなくなった者から消えていくわけです。
たぶん、作品中にもありましたが、このまま燃料がなくなって太平洋かどこかへドボン、乗員乗客全員既に死亡していたという事項調査補酷が出されるのでしょう。オチとしてはありがちで、ホラーと言うよりはミステリーという作品でした。
続いては「ミラーズ 呪怨鏡」、ロシアのホラーです。
子供たちが鏡から悪霊を呼び出すという、コックリさんのような遊びをしたのですが、そこから恐怖が始まります。くだらない都市伝説の類かと思っていたら、本当に鏡の中には悪霊がいたのだということで、子供たちが次々に殺されます。
そして主人公の12歳の少女の番。今は離婚した母と暮らしていますが、娘の様子がおかしいと元妻からの連絡を受け、最初は思春期特有の症状ではないかと疑っていたものの、次第に悪霊の存在を信じるようになり、遂には娘を助けようと懸命に奮闘します。
この問題にくわしい男と連絡を取り、後半は協力して娘を助けようとするのですが、そもそも悪霊の正体というのが、自分の利益のために孤児院を開いた女性(手当か補助金だかをもらったら孤児たちを殺していた)の犯行が見つかり生き埋めにして殺された、という事件があり、その女の怨念だというのです。
いや、待ってください。怨念って、世の不条理に恨みを抱いて死んだ者の専売特許では? このような自分が悪いことをした人間が恨みを抱くと言われても逆恨みなんではないか、と言いたくもなります。それに、その女の怨霊がどうして鏡の中に潜んでいるのか? 細かな部分では納得できなところもあります。
最後、娘を臨死状態にして悪霊を追い出し、その後娘を再び蘇生させるという方法を採るのですが、悪霊が娘からなかなか出て来ないのに業を煮やした父親が自分に乗り移させます(最初はそばに置いておいたネズミに乗り移させる予定だった)。が、乗り移ったはいいものの肉体を乗っ取られそうになった父親を見て、協力者の男が更に自分に乗り移させます。この男も主人公の少女と同じような状況で息子を亡くしていたのです。
自分に悪霊を乗り移させた男は、自分に毒を注射して自殺、それによって悪霊を滅ぼそうとしてジ・エンド、となるところ、そばにはネズミがちゃっかりいて、なんとなく悪霊はネズミに乗り移って次のターゲットを探しているのではないかという予感を与えます。エンディングでも悪霊は滅びていないような謎を含んだシーンを残して終わります。
うーん、怖いと言えば怖いし、怖くないと言えば怖くない、なんか見たことあるような作品です。親子の状態で悪霊を退治、離婚中の両親もこの騒動で復縁、よくあるホラーの構図ですね。上にも書いたように、鏡と悪霊との接点がわからないのと、仮にそれがあるとしたら、どの鏡にも悪霊がいるというよりは、悪霊が取り憑いている鏡という設定の方が怖かったのではないか、という気もします。まあ、それだとその鏡さえ壊せば一件落着というストーリーが見えてしまいますが。
さて、この手の映画ですと主人公の少女が美少女というのが定番だと思いますが、この作品の場合、ブスではないですけど、それほど美少女とも言えない感じでした。むしろ主人公の母親が、旦那にはもったいないくらいきれいな人でした。