東映チャンネルの「動物の狩り方」に続いて、同じく「若手映画作家育成プロジェクト」の作品「ここにいる…」「UTAGE」「あかり」を視聴しました。

「あかり」は知的障害のある妹を持つ姉が結婚を控え実家を訪れた一日を描いたもので、ちょっぴり切なく、心温まる物語です。主演の七海薫子が戸田恵梨香に見える時がありましたが、障害のある家族を持った大変さ、辛さをうまく演じていたのではないかと思います。二人姉妹の姉でこれから嫁いでいくわけですが、施設に入っている妹にとって、この先両親が亡くなった後は自分が背負わなければならない、そんな覚悟がつくような、つかないような、まだ決心ができていない感じがよく伝わってきました。

「UTAGE」はつみきみほ主演です。つみきみほといっても知らない人が多いでしょうか？　ショートヘアでボーイッシュな感じの女優さんでした。あたしが大学生の頃、テレビや映画に出てきた印象があります。大学の頃に知り合った、やはりショートヘアの女の子が「ねえ、つみきみほって知ってる？」と聞いてきたので「知ってるよ」と答えたら、「あたし似てるかな？」と言うので理由を聞いたところ、教育実習に行った先の高校で生徒たちにそう言われたとのこと。それ以来、つみきみほと聞くと、あるいはつみきみほをテレビで見ると、その女の子のことを思い出します。

作品は、昔の友達、いや恋人が、いまや有名パティシエとなって活躍していて、それに引き替え自分は場末の食堂で雇われシェフをしている。その落差に、現実に、焦燥感が募り、周囲に当たり散らしてしまうつみきみほ。それではいけない、自分が悪いんだということも本当はわかっているのに、素直になれない気持ち、そして年齢的にもう若い頃のように冒険することもできず、結果ますますイライラが募るという悪循環。

最後に「ここにいる…」は双子のタレント蒼れいな・あんなを双子の役で使った、ちょっとホラーっぽいストーリー。会社帰りに消息を絶ってしまった妹を探す姉。実は工事現場で穴に落ちて命を落とし、それに気づかれず、そのままコンクリートで固められてしまったというのが真相。ふだんから相手に何かあると自分もそれを感じる体質だった双子なのに、妹の事故死を感じられず苦しむ姉。

作品自体は、妹が失踪してから姉の前に妹がしばしば現われるのは姉の精神状態から来る幻覚なのだと思いますが、そこに双子ではよく言われるテレパシー的なものを交え、ライトなホラー映画っぽいです。奇を衒ったものでもないですし、ストーリーにどんでん返しがあるわけではなく、自分の体の一部のような家族が失われた時の心の不安定さを描いたものでしょう。

ただ、この作品、ロケがほとんど立川駅周辺なんです。それもＪＲの立川ではなく、多摩モノレールの立川北駅周辺です。ふだん使う人ならわかってもらえると思いますが、立川北駅はＪＲ立川駅の北西、伊勢丹の西側にあり、モノレールは南北に走っています。駅の北側と南側に改札口があって南口はＪＲ方面ですが、北側はあたしの営業先、お得さまであるオリオン書房ノルテ店のあるパークアベニュービルや高島屋方面に向かっています。作品ではこの北側がよく映っていました。ちょうど改札から降りてきてパークアベニューに入る前のデッキ上や、デッキからパークアベニューの北側のシネマ・ツーへ向かう階段、そしてモノレール下の散歩道などがしょっちゅう登場していました。

実は立川はデッキから下へ下りたことってほとんどないのですが、下から見上げるとこんな感じなんだ、と思えるシーンがいくつもあって、映画のストーリーよりも風景の方にばかり注意が向いていました。たまにはデッキから下へ下りてみようかしら、そんな気持ちになりました。

さて、この三作品、いや東映チャンネル的には６月の特集で四本を流したわけですが、やはり能年玲奈の美しさが際立った「動物の狩り方」が一番印象に残っていますね。