たぶん新年度が始まるのは明日からでしょう。大学などは始業がもう少し先かも知れませんが、新社会人の出勤は明日から、というところが大多数だと思います。初めて東京や大阪などの都会に出て来て、親元を離れ一人暮らしを始めた方、特に女性の方、慣れない生活で苦労しているのでしょうか、それとも都会生活を満喫しているのでしょうか?
そんな女性にお勧めなのがこちら、『ブルックリン』です。映画にもなりましたので、小説は読んでいないけど映画は見た、という方も多いのではないでしょうか? 確か主演の方がアカデミーにノミネートされたんですよね、惜しくもオスカーは逃しましたが。
ストーリーはアイルランドの田舎から大都会ニューヨークのブルックリンに出て来た少女が、都会での生活に悩みながら成長していくという、ありきたりといえばありきたりですが、そんな物語です。人との出会いやちょっとした恋愛要素も交え、少女がどのように大人の女性に成長していくのか、古典的なテーマだからこそ古びずに、手を変え品を変え、こうして新たな作品が作られるのでしょう。
ですので、たぶん同じようなテーマの作品は他にもたくさんあるでしょうし、別に海外文学で読まなくてもいくらだって日本人作家の作品があるはずです。この作品でなければならないと押しつけるつもりはありません。ですが、一応は自分の勤務先の出版物ですから、ふさわしい季節にお薦めしたいと思った次第です。書店で、こんなテーマのフェアをやるのであれば、是非とも本作もそのラインナップに加えてほしいものです。
それにしても、少ない読書体験からの勝手な推測ですが、この手の作品は女性が主人公のものがほとんどような気がしますが、どうでしょう?
読んだわけではないのですが、男性が主人公というと漱石の『三四郎』がそういう感じの内容ではなかったかと思い出せるくらいで、他にどんなのがあったでしょう?
まあ確かに、例えば「新生活応援小説フェア」というのを書店でやったとして、女性ならフェア台の前で足を止め、『ブルックリン』などを手に取ってくれるかも知れませんが、男性がこの手のフェアに食いついてくれるのだろうか、という気はします。それでも都会に出て来て悩んでいる、苦労しているのは女性だけとは限りませんから、男女それぞれが主人公の小説を並べてみるのが面白いと雄物ですが……