一般企業の方、教えて!

昼下がりのオフィスでのことです。

外から若い女性が入ってきました。本を注文していた書店の人、あるいは大学の語学の先生が買いに来たのかと、最初は思いました。よくあることですから。でも、見覚えのない顔ですし、語学の先生や、あたしの勤務先と関係のあるような人には見えません。

となると、あるいはセールス、勧誘かも、という可能性も。確かにそういった人もよく来ます。保険営業などでも、「こんどこの地区を担当することになりました」という元気のよい、笑顔のまぶしい新人さん。圧倒されてしまいます。

話は脱線しますが、そういう営業の人で、とにかく名刺交換をさせてくれ、と食い下がる人が時々います。先輩からとにかく名刺交換だけでもしてこいと支持を受けているのでしょうね。でも、今後も間違いなく一切関わることのない人に、こちらも名刺を渡すほど暇ではないので、丁重にお断わりしてお引き取り願っています。

閑話休題。

あ、脱線ついでに書きますと、時々あたしの勤務先には「果物買ってくれませんか」という活きのいい兄ちゃんもやってきます。産地直送だから新鮮だ、安くするからと、いろいろご託を並べますが、こちらもお引き取り願っています。

さて、改めて閑話休題。

その女性、企業名は失念してしまいましたが、おいしい牛乳を提供しております、というようなことを言い出します。「うーん、もしかしてヤクルトとかジョアとか、そういった物の訪問販売なのかな?」と思いつつ、「つまり牛乳を買いませんか、ということですか?」と尋ねると、「はい」とおっしゃいます。そして続けて「牛乳担当の方はいらっしゃいますか?」と尋ねてくるではないですか?

「牛乳担当?」

「はい」

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください。……………たぶん、そういったことは総務になると思いますので、総務部へ行ってもらえますか?」

という感じで総務に下駄を預けてしまったので、その後その情勢がどうなったのか、うちの総務部がどのような対応をしたのか、現時点では不明ですが、あたしと周囲の営業部ではちょっとした衝撃が走りました。

「牛乳担当って言ったけど、もしかして他の一般的な会社なら、どこでも牛乳担当って置いているのかな? うちが世間からずれちゃってるのかな?」と悩んでしまいました。

牛乳担当主任、いや牛乳部長、いやいや牛乳担当取締役、そんな肩書きの人が、よその会社には普通に存在しているのでしょうか? 知りたいです。

そして、あの女性はいったいどういう目的で、否、どういう営業を仕掛けようとしていたのでしょうか? 毎朝、牛乳瓶で牛乳を配達してくれるのでしょうか? そういえば玄関先に牛乳を入れる箱のある家って、昔はよく見かけましたよね。あれの企業版? それともユニマット的に牛乳がいつでも飲める給湯器の設置でしょうか? いま、あたしの勤務先の会議室兼食堂には給湯器があって、冷温それぞれでお茶とコーヒーが飲めるようになっていますが、そのどちらかが牛乳に変わってしまうのでしょうか?

いずれにせよ、牛乳担当、この言葉の衝撃はかなりの強さでした。