行楽よりも通勤?

小田急沿線の営業をしているときに駅でロマンスカーの時刻表を見つけました。3月にダイヤ改正があるようですね。

小田急ロマンスカーと言えば、展望席のある車輌というのが子供のころからのイメージで、箱根の温泉に行くときに乗る特急と思い込んでいました。その後、箱根湯本行きの「はこね号」よりもちょっとダサい車輌を使っている片瀬江ノ島行きの「えのしま号」とか、「はこね号」よりも停車駅の多い「さがみ号」というのを知りましたが、ロマンスカーと言えばあくまで箱根へ向かう「はこね号」であって、それ以外はロマンスカートは呼べない、そんな風に思っていました。まあ、あくまで子供のころ印象です。

 

最近では、大島優子主演の映画「ロマンス」がロマンスカーを舞台にした作品であったということを思い出すのはアイドル好きやAKBオタくらいでしょう(笑)。一般の方なら箱根と言えば、箱根山の噴火と周囲の立ち入り制限のニュースが比較的最近の記憶ではないでしょうか?

その噴火のころ、小田急線を営業で回っていると駅のホームでしばしばロマンスカーを見かけましたが、車内はガラガラでした。箱根に行っても、もちろん箱根湯本駅付近や多くの地域で危険はないはずなのに、やはり風評被害というのでしょうか、箱根観光が敬遠されている感じでした。確かに、あのロープウェイに乗れないのであれば箱根周遊もほとんどできないに等しく、それでは行っても意味ないやと考える観光客が多いのも理解できます。

しかし、その後、箱根の立ち入り制限が徐々に緩和されるとロマンスカーの乗客がみるみる増えていくのを目睹しました。箱根に人は戻ってきている、そのことをロマンスカーの混み具合で実感したものです。というわけで、あたしにとってロマンスカートは、やはり今でも箱根に行楽に行く特急という先入観が抜けておりません。

そんな幼い記憶を胸にこのたびの時刻表を見ると、そもそもロマンスカーってこんなに多くの本数が走っていたっけ、というくらい多く走っているのですが、それだけでなく、ずいぶんとたくさんの駅に停車するようになったなあ、と感じました。上述の「えのしま号」や「さがみ号」は、あたしの子供のころの記憶でも町田には停車していたと思いますが、「はこね号」は新宿と箱根湯本の間の停車駅は小田原だけだったと記憶しています。それが、この時刻表を見ますと、途中停車駅が小田原だけというロマンスカーは数えるほどしかありません。一本か二本だけではないでしょうか?

これでロマンスカート言えるのか!

そんな怒りにも似た気持ちがフツフツとわき上がってきます。確かに、営業していてロマンスカーが思いも寄らない駅に停車しているのを見る機会が増えました。「なんで、こんな駅に?」というのが素朴な疑問です。「快速急行があるからいいじゃない」と思います。しかし、これほど停車するというのは、ロマンスカーが行楽特急ではなく、日常の通勤特急へと性格を変えたからなのではないでしょうか?

確かに、定期券で乗れる快速特急に比べ、ロマンスカーは余分な料金がかかりますが、ゆったり座って通勤できます。特に帰りなどは疲れた体をシートに預けてリラックスして帰りたいという気持ちも理解できます。だから、それなりに通勤客、乗降客の多い駅に停車せざるを得ないのはわかりますが、こうなると純粋に行楽で箱根に行くに人にとっては「どっちらけ」です。特に休暇を取って平日に箱根に行こうという人の近くに通勤客が乗っているなんて……。行楽とは日常を離れるからこその楽しみなのに、すぐそばに日常が垣間見えてしまっては行楽気分も半減です。

まあ、小田急にとってはロマンスカーの稼働率、満席率を上げるための策なのでしょうが……