頑張れ、ヤングアダルト!

新刊のそば近くに置いてあった冊子というか栞というか、A4判二つ折りのもの。「STAMP BOOKS」とあります。

 
 

岩波書店のヤングアダルト小説のシリーズのようです。既に何店も刊行され、最近また新刊が出ているのですね。この中の『アラスカを追いかけて』は、かつてあたしの勤務先から出ていたもので、訳者も代わって岩波書店から先日復活したばかり、ということは既に書きました

その時は気づいていなかったのですが、「STAMP BOOKS」と言うシリーズがあったのですね。装丁に必ず切手があるのがシリーズの目印でしょう。このチラシの表紙には

等身大のティーンが主人公の,心に響く物語を選りすぐった,10代からの海外文学。

とあります。中高生向けのシリーズという位置付けのようです。もちろん大人の鑑賞にも十分堪えるものばかりでしょうが、あたし、どれも読んでことありません(汗)。

それはともかく、これまで、このようなジャンルについては「ヤングアダルト」という呼び方がありました。と言いますか、今もあります。アメリカの書店や図書館では「Young Adult」という表記は普通に見られるもので、日本でも洋書売り場などでは目にすることができます。

しかし、日本では、日本語ではと言った方がよいかも知れませんが、この「ヤングアダルト」という単語、なかなか定着しませんね。どうしても「アダルト」という部分に風俗的なもの、いかがわしいものを感じてしまうのが敬遠される大きな理由のようです。

それでも図書館などへ行けば「ヤングアダルト」というコーナーはあったりするのですが、書店ではまず見かけません。ヤングアダルト出版会という団体が熱心に活動していますが、書店店頭に「児童書」「ライトノベル」というプレートは見かけても、なかなか「ヤングアダルト」という表記は目にしません。

で、あたし個人としてはヤングアダルトという言葉が根付くか根付かないかということよりも、若い世代に読書という習慣が根付くか根付かないかということの方が気になるので、岩波書店が、あえてなのかは知りませんが、「ヤングアダルト」という単語を使わず「10代からの海外文学」という謳い方をしているのは、それなりに意図があることだと思います。