昨日に引き続き、こんどは「エクソシスト ビギニング」を視聴。
第一作の主人公というのか、結局リーガンを救えずに命を落としたメリン神父の若き日(というほど若くはない?)の物語。第二次大戦中、ナチスの虐殺になすすべもなく、多くの人を見殺しにしてしまったメリン神父は信仰を失い、自称・考古学者として戦後を生きています。そこへアフリカのある土地で古代の教会が見つかったので、その発掘現場へ行ってお宝を手に入れろ(盗んでこい?)という依頼を受けます。
当時、アフリカのそんな土地にはキリスト教は布教されていなかったはず、なのに何故教会が建てられたのか? 考古学的な興味も手伝ってメリンは発掘現場へ向かいます。調べていくうちに、その土地は堕天使ルシファーが追放された土地で、悪魔を鎮めるためにその場所に教会が建てられたということのようです。
まあ、キリスト教的なストーリーはそんなところ。時代設定は1949年なので戦後まだ間もない時期。戦中の忌まわしい過去にとらわれ、夜ごとうなされるメリン。自責の念ですね。そんな時代背景に、アフリカの人々を見下すイギリスの統治者たち。植民地支配の光と影が描写されます。
村人たちは労働に駆り立てられ、こき使われ、人間として扱ってももらえない状況で不満がたまっています。そこへ来て悪霊騒ぎです。これは白人どもがもたらしたものだと原住民が信じ込むのも無理はないでしょう。このあたり、恐らくは現地の風土に慣れていない白人が、風土病のようなものにかかっただけというのが現実的な解釈でしょう。神経を蝕むような病気であれば、あるいは高熱を発するような病気であれば、幻覚も見るでしょう。それを悪魔の仕業と思い込むのも当時としてはやむを得ないところです。
最後は信仰を取り戻したメリンが悪魔と闘い、見事打ち克つ。メリンも神父に戻ります。が、外野に目を移すと、白人の現地のボスが惨殺され、イギリス人はそれを原住民の仕業と思い込み、軍隊を送り込んできます。原住民は原住民で、すべては教会などを掘り起こしたから悪魔がよみがえったのだ、その責任はすべて白人にあると思い込み、一触即発。いや、実際に衝突は起こり、両者入り乱れての白兵戦。そこへ砂嵐が襲ってきて、たぶん全員死んでしまったのでしょう。メリン以外は、キリスト教を信仰する現地の少年だけが唯一の生き残り。
結局、作品中で語られている古代のエピソードにしても、ヨーロッパ人と現地人との諍いから殺戮の事態が起こり、たくさんの血が流れたわけで、そのためにそこが呪われた土地と呼ばれるようになったようです。バチカンはそれを隠蔽していたようですし。今回の作品でも原住民とイギリス兵との戦闘があり、またしてもこの土地に血が流れたわけです。時が流れると、こういったことも悪魔の仕業と言い伝えられていくのでしょうね。