『「火附盗賊改」の正体』読了。
書名は「正体」となっていますが、別に謎解きでも何でもなく、徳川三百年を通じた火附盗賊改という役職の変遷を追ったものです。『鬼平犯科帳』しか知らない身としては興味深い話ばかりで面白かったです。
そもそも長谷川平蔵以外にも歴代の火盗改がいたことは常識としてわかりますし、江戸には南北の町奉行がいたわけで、それとの役割分担とか確執といったものもあったのではないかなといった予想はある程度は当たっていました。
全体としては、当時の文献の引用なども手際よくまとめられており、とにかく長谷川平蔵だけではない火付盗賊改について知りたいという人には格好の入門書ではないでしょうか? だからこそ、鬼平ファンには若干物足りないところもあるのではないでしょうか。