文庫、新書、単行本

書店でこんな棚を見かけました。

おわかりですね。ハンナ・アーレントです。ここ数年、関連書の出版も続いて、ちょっとしたブームな感じもします。年明けにはちくま新書から『アレント入門』という新刊が出るようですから、まだまだブームは続いていると言ってよいのかも知れません。

さて、この棚、お気づきかも知れませんが、文庫も新書も単行本も一緒に並んでいます。フェアコーナーなどならわかりますが、一般に書店の棚で、このように文庫も新書も単行本も一緒に並べるというのはあまり見かけません。文庫は文庫のコーナーで会社別、レーベル別に並べるのが普通ですし、新書も同様です。そして単行本はジャンル別。この棚のように、単行本の棚に関連する文庫や新書を持ってきて並べるのはやっていそうで、それほどしょっちゅう見かけるというわけでもありません。新刊ならともかく、既刊の場合はなおさらです。

しかし、このように並んでいる方がお客さんにとっては有難いはずです。問題は、どこでやるかです。文庫や新書の棚は、文庫・新書用に棚の高さを調整していますので、そこに単行本を並べるのは至難です。それに文庫・新書は新刊も多く、棚は激戦区になっていて、そこへ単行本を割り込ませるのは、これまた至難です。

ですから、このように人文などの棚に文庫・新書を持ってきてやるわけですが、人文書コーナーって、書店の中では比較的目立たないところにあるものです。せっかくこういう面白い並べ方をしているのですから、本当ならもっと人通りの多い、目に付きやすいところに並べたいところだと思います。

それとも、こういうジャンルが好きな人は、人通りも少なく、だからじっくり、ゆっくり本を眺められる人文コーナーがお好きなのでしょうか?