どこかにフツーの本屋はないのか?

またしても朝日新聞の記事です。

下北沢の本屋さんB&Bが銀座に出店するというニュースです。

B&Bは嫌いじゃありません。「へえー、こんな本が出ていたんだ」という発見があります。それに大きさもちょうどよいです。この手のセレクト型の書店が規模をあまり大きくしてしまうと、却って探しづらくなりますし、セレクトショップ的なよさが失われてしまうと思うのです。

それはさておき、銀座にB&Bが出店するということに異存はありませんし、あたしなどが異議申し立てるできるような立場にはおりません。それでも、あえて言いたいのは、銀座にフツーの本屋さんを作ってよ、ということです。

銀座地区に本屋さんがないと言っているのではありません。有楽町駅前には三省堂書店があり、四丁目交差点のビルにはブックファーストもあります。なにより銀座といえば教文館があります。だから決して書店がないわけではありません。

しかし、かつてこれに加えて旭屋書店が数寄屋橋交差点付近にあり、9丁目の方へ行けば芸能人の握手会やお渡し会で有名な福家書店があったわけですから、そのころを知っている身には「本屋が減った」と感じるわけです。

特に、福家書店が閉店したのと前後して、新橋からも文教堂、書原といった本屋が消えていきました。管見の及ぶかぎり、銀座四丁目交差点から南、新橋界隈にかけては書店のない街になってしまっています。

確かに、上に書いたような書店があるわけですから、少し歩けば本屋はあります。しかし、あのあたりで働く人の行動半径を考えた場合、ちょっと遠いです。いや、かなり遠いです。おいそれとは行かない距離です。本屋がほとんどない地方の人からすれば贅沢な悩みと言われるかも知れません。しかし、周辺人口で考えると、銀座から新橋界隈の本屋の無さは、地方をはるかに上回るのではないかと思います。

それでも、春には旧松坂屋がリニューアルして、そこに蔦屋書店が出店するという話ですからいくぶんよくなるでしょう。でも、蔦屋書店もセレクト型のお店です。でも、この地区にまず必要なのは、もっとオーソドックスな本屋ではないかと思うのですが、どうでしょう?