いまや……

久々に、またもやアイドルホラーです。

シロメ」です。主演は、いまやAKB48をしのごうかという勢いのももクロです。ただし、現在のももクロのメンバーは5人ですが、この映画では早見あかりが脱退前なので6人で出演しています。たぶん、このころはまだ「ももいろクローバー」というグループ名で、最後に「Z」がついていなかったのではないでしょうか?

内容は、ももクロのメンバー6人が、シロメ様という純粋な気持ちで願ったことならなんでも聞いてくれるという都市伝説のスポットである、関東の片田舎の廃墟をレポートするというフェイク・ドキュメンタリーです。ももクロには映画ではなく、あくまで衛星放送の番組の収録という説明で行なわれています。

ちなみに、このシロメ様、本当にそんな都市伝説が関東の中高生の間で囁かれているのか、この映画の中だけの話なのか知りませんが、とりあえず説明しますと、ある廃墟の壁にチョウチョウのような絵(シミ?)が描かれていて、その前で「シロメ様、シロメ様、●●してください」と三回願いを唱えると、それが叶うというもの。ただし、願い事が素直な気持ちから出なければ白目をむいた化け物、つまりシロメ様によって地獄に引きずり込まれる、ということらしいです。

映画の中では、その廃墟で数年のうちには何人もの人が亡くなる(謎の死を遂げる)というエピソードがももクロに伝えられ、この年代の少女たちの例に洩れず、ももクロのメンバーもかなり怖がりながらの廃墟ルポです。霊能者、除霊師、怪談師といった脇役たちも、どう見たって嘘臭さが漂いますし、ディレクター役の人も、こういったフェイク・ドキュメンタリーの定番で、二言目には「番組が成り立たないから」と言って強引に事を進めようとします。もし本当にヤバいところであれば、番組がどうあろうと撮影を中止するだろうに、このあたり、既にももクロもフェイクを見抜いていたのではないかと思います。それでも、真っ暗な夜の学校、それも廃校に足を踏み入れるというのは気持ちのよいことではないでしょうから、たとえ心霊スポットでなくとも怖くなるでしょうね。ただし、あれだけスタッフが周りにいたらどうなのでしょうか?

画面は時々ノイズが入ったり、霊のしるしだという白いボール状のものが写り込んだり、かなりチープです。ありゃいかにもヤラセだよね、とわかってしまうレベルです。それでもけなげにレポを敢行するももクロはたいへんだなあと思います。この時点でそれなりの人気にはなっていたとは思いますが、まだまだ駆け出しの新人アイドル、上からこうしなさいと言われたら仕事を選んでいる自由なんてなかったのでしょうね。映画出演ではなく、その設定としての心霊スポット・ロケのことです。あんな場所に行かされてかわいそうだな、という同情心が芽生えます。

今の彼女たちがこの作品を見直したら、いったいどんな感想を持つのでしょう? 昔はあんな仕事もやらされたよね、と言うのでしょうか?