この切実さを理解できるか?

既に一度感想を書いていますが、めでたく重版が決まったので再び書きます。

神は死んだ』の話です。

この作品は連作短篇集で、第一話で神様が死んでしまい、第二話以降は神のいなくなった世界の退廃ぶり、無軌道ぶりを描いた作品です。第二話以降のハチャメチャは、神の不在をベースとしつつも、現代社会への痛烈な批判になっていて、既に似たような事象はアメリカや日本で日常的に見られるものとなっているような気がします。そういう意味では「神の不在」を借りた社会批判であり、現在の社会はまるで既に神がいなくなったようなものだ、と言っているような気がします。

さて、第一話が個人的には一番面白く読めました。

いきなり砂漠をさまよう、今にも死にそうな神様が登場し、結局のところ野垂れ死にます。なんでそんなことになったのか、まるっきり説明されていません。とにかくアフリカの大地で、黒人の美女として現われ、野垂れ死んでいくのです。その途中、なまじ美人であるが故に、あやうくレイプされそうになりますが、死体のふりをしたのか、体を動かす力すら残っていなかったのか、ギリギリのところで難を逃れます。しかし、それも束の間。結局は野垂れ死に、犬に食われてしまうわけです。

先にも書いたように、日本人にとっての「神」と、欧米人にとっての「神」とは、全くその存在感や重みも異なるでしょうから、あたしには笑いながら読めましたが、果たして……