悪霊の仕業か、人間の仕業か?

本日は「死霊高校」を視聴。もう見飽きた感のあるPOVの映画です。

簡単にあらすじを紹介しますと、舞台は20年前の、とある高校の文化祭(かな?)。この映画の原題でもある「GALLOWS(=絞首刑)」という劇の上演中に、誤って本当に役者を演じていた生徒が首を吊って死んでしまうという事故が起きます。そして時は流れて現代。忌まわしい記憶の残るあの劇を再び上演することになった高校生たち。しかし、演技に不安を抱えた主人公が友人に唆され、上演前日の晩に学校へ忍び込み、舞台装置などを壊して上演できないようにしようとします。しかし、そこで恐怖の体験をすることに……

POVの場合、どうしてもビデオを回し続けないとならないわけで、多くの作品では「この状況でよくビデオを回していられるなあ」ということが気になるのですが、本作の場合、灯りのつかない体育館(講堂?)なので、ビデオをつけることで懐中電灯代わりにするという役回りになっています。それはそれなりに説得力がありますが、例によって、ビデオを回している生徒がウザイです。アメリカのティーエイジャー・ホラーにありがちな、うるさいだけで早々と殺人鬼に殺されてしまうタイプ、まさしくそれです。

それはともかく、本作の場合、20年前に事故で死んだ生徒の霊が襲っているようなのですが、途中で、現在の上演で主人公をやる男子生徒の父親が、20年前に本来は絞首刑になる主人公を演じるはずだったことがわかります。父親が当日なぜ役を代わることになったのかは語られていませんが、そのために急遽代役で主人公を演じた生徒が死んでしまったのですから後味が悪いでしょうね。

で、そんな因縁など知らずに主人公を演じることになった男子生徒に対し、ヒロイン役の女子生徒は実は20年前のヒロイン役の女子生徒の娘。なおかつ20年前の事故で死んだ男子生徒が恋人であったようなので、現在の部のヒロインは20年前に亡くなった男子生徒の娘でもあるような、ないような……

結局、この母娘が事故とはいえ死んだ恋人(娘から見たら父親)の恨みを晴らしたのが今回の事件の真相のようですが、かなりの怪力が見られたり、科学的に説明しづらいところも多々あるので、やはり死んだ生徒の怨霊も一枚噛んでいるようです。というよりも、よりホラー映画らしく解釈すれば、死んだ生徒の霊が、自分の恋人と娘を使って恨みを晴らしている、ということでしょう。

問題は、では死んだ生徒、確かに非業の死ですけど、別に誰かに仕組まれて殺されたとか、死んでも誰も悲しまなかったとか、そんなことはなかったはずです。その証拠に、この作品の上演を20年も封印していたわけですから。それを今になって(死んだ生徒の霊の力によって)再演させたとするならば、再演した理由はなんなのでしょうか? 自分が事故死することになったきっかけを作った級友の息子に復讐するためでしょうか? いや、だったらその級友(主人公をやることになった男子生徒の父親)は健在でピンピンしているわけですから、彼本人に復讐すればよいのではないでしょうか? なんで息子なのでしょう? このあたりがわかりません。

そして、そもそも事故で死んだ生徒、恨みを抱え怨霊化するような死に方だったでしょうか? そのあたりの説明がやや手薄です。それとも当時恋人だった女性の悲しみと未練などが混ざりあって、恋人の霊を成仏させなかった(キリスト教で成仏という表現も変ですが……汗)のでしょうか。そしてそのために恋人の霊は悪霊化してしまったのでしょうか?