平積みや面陳だけが並べ方ではないんだね、と改めて教えてもらった気がする

書店を回っていますと、少し前からようやく新刊『装幀の余白からv』が並び始めたようです。装幀、デザインというジャンルの本ですから、一般の文芸書とは読者層も異なるとは思います。書店からの事前の注文も少し抑え気味なところがありました。

それでもやはり新刊ですから、店内の新刊コーナーなど目立つところに置いていただいているところが少なくありません。5冊、10冊も配本があった書店なら新刊コーナーと、デザインの棚の2か所に置いているところもあります。が、上述のように1冊だけ棚に並んでいるというお店も目立ちます。

そんな中、同書が一冊だけ新刊コーナーに並んでいる某書店、しかし、その隣にはこんな本が並んでいました。

  

菊地信義の装幀』『Ōe 60年代の青春』『祖父江慎+コズフィッシュ』の三冊です。

毎日毎日大量の新刊が刊行されるこの業界、これらはそれほど古い出版物ではありませんが、必ずしも新刊とは言えません。もちろん、大型店のデザイン芸術書売り場の新刊コーナーであれば、こういった並び方、並び方を見ることはあるでしょうが、あたしが目睹した新刊コーナーは、フィクションとノンフィクションといった大まか分類はされていますが、基本的には新刊をまとめて置いてあるようなスペースです。限られたスペースですから『装幀の余白』以外の3点がいまだに新刊コーナーに置かれているとは普通では考えにくいです。

つまり、これはもう書店の方が意図的に並べたとしか思えません。たった一冊だけ配本された新刊でも、毎回毎回このように丁寧な配慮をされて置いていただけるなんて、出版社としては嬉しい限りです。というか、頭が下がります。