つまりは妄想?

録っておいた映画鑑賞です。今回は「イントルーダーズ」です。

 

顔のない魔人の幻影におびえる娘と、その娘を救おうとする父。父にも魔人が見えるのに、この父娘以外の人には魔人は見えない。そこで周りからは精神異常と見なされてしまうのですが、ここでこの父親の幼少の頃の記憶とオーバーラップします。父親も子供の頃から魔人の影におびえ、母親ともどもやはり精神異常者だと見なされるような生い立ちだったわけです。

精神疾患的には極めて近しい関係の二人が同時に幻覚を見るという症状のようですが、当の本人たちはそんな説明を受け入れるはずはありません。この父親はついには離れて暮らす母親の元へ向かい、魔人の正体について糾します。

ネタばらしになりますが、つまり魔人は実在したのです。ただし、魔人でも何でもありません。刑務所かどこかに入っていたらしい父親の父親が、そこから出てきて息子を捜し回ってようやく見つけ出し、母と二人で暮らす家(アパート)に乗り込んできたのです。母は息子を連れて行かれないように必死に抵抗し、その弾みで父親は手すりから落ちて命を落とします。

そのような痛ましい場面を息子に見せまいと母親がついたウソ、作り話が魔人の話。魔人が襲ってきたと息子に信じ込ませ、実の父親殺しを息子の記憶から消し去ることには成功したのですが、逆に息子は魔人におびえることになってしまったのです。

因果は巡り、その息子が大きくなり結婚して娘ができ、その娘がひょんなことから魔人の影におびえるようになってしまったというわけ。なぜ何も知らない娘のところへ魔人が現われるようになったのかは、合理的な説明がないのですが、たぶん父親の心の中にずっとくすぶり続けていたのでしょうね。