文庫クセジュの新刊『100語でたのしむオペラ』をパラパラめくっていると面白いです。
その一つ、「指揮棒」は冒頭からこんな具合
十七世紀、リュリが演奏者の前で拍子をとったときに握っていたのは、文字通りの棒(フランス語で指揮棒のことをbaguetteと言うが、baguetteはもともと棒を指す)で、彼はこの太い棒のためにけがをしたほどである。
さらに
オーケストラの指揮はまさに力業であり、指揮者は自分のすべてを投入する。指揮者のエネルギーは、そのままオーケストラに伝わる。全体からよく見えることばかりを意識して、動作を大きくし続けていると、オーケストラの音もますます大きくなってしまう。当然のことながら、舞台で歌う歌手の声も聞こえにくくなる。
なんてことまで。挙げ句の果てに
とはいえ、指揮棒は絶対に必要というわけではない。ピエール・ブーレーズ、小澤征爾、あるいはヴァレリー・ゲルギエフは、小規模な楽器編成のバロック音楽を専門とする指揮者と同様、指揮棒なしで指揮をすることを好む。
とまで言ってしまっています。
他にも読んでいるとクスッとしてしまう、堅苦しさなんてまるでない、オペラミニ百科です。