満月のくちづけ

ちょっと前にWOWOWで放送されていた「満月のくちづけ」を視聴。

1989年の作品だそうですが、当時こんな作品が公開されていたなんて、まるっきり記憶にありません。今も昔もそうなのですが、あたしがあまり深津絵里に興味がないからかもしれません。

で、本作はホラーというよりは、アイドル映画の一種なのではないでしょうか? だってプロデュースが三宅裕司ですし、小倉久寛も出てくるし、そもそもほとんど怖くないので。

ストーリーは、深津絵里扮する女子高生が寺脇康文扮する学校の美術教師に淡い恋心を抱くという、ピュアな純愛ストーリーっぽいのですが、だったら、その線で行けばよかったのに、中途半端にホラーにしてしまったからずっこけてしまってます。冒頭の湖のシーン、あの少年は何だったのか? 友達と一緒に呼び出した悪霊は本当に呼び出せていたのか? 何人も死んでいるのに、死体が一切見つからないのはなぜか?

といった疑問が多々あります。フツーの感覚として、クラスメイトがいなくなったとして、一時間程度ならサボリと考えるでしょうが、その後一切現われなかったら、警察に相談するものではないでしょうか? 主人公たちは仲良し四人組のようですが、その中の一人がいなくなっても特に日常に変化があったようには思えません。

プールに浮いていたウサギの死体だって、当然警察が動く案件のはずです。もちろん私学ですから、学校のイメージダウンを気にして、あえて外部には漏らさないというのはありでしょうが、先生がいなくなっているのに(悪霊に殺された?)、学校がいつもどおり運営されているのもおかしなものです。挙げ句の果てに、教室内で火を焚いている寺脇康文。

結局、悪霊っていたの? 主人公たち以外の生徒にとって、この一連の事件はどう受け止められていたのか、まるでわかりません。もし、これで多感な時期の少女の揺れる心の内を表現しているのだとしたら、あまりにも雑な描き方だと思います。

これは熱烈な深津絵里ファンなら見逃せない、若かりし深津絵里の想い出でしょうが、ホラー映画ファンとしては、これをホラーにカウントするのは無理です。やはりアイドル映画ですね。深津絵里の若さは弾けていますし、確かにかわいらしく撮れているとは思いますが。