NHKのドラマ「初恋芸人」が終了しました。主人公に初めて訪れた恋だったのに、その子は師匠と結婚するという急展開。最終回を迎え、あたしは「師匠との結婚はドッキリで、主人公に愛の告白をする勇気を出させるための芝居だった」というオチが来るのかな、と内心では思っていました。
が、ストーリーとしては何のドンデン返しもなく、そのままヒロイン・松井玲奈は師匠。小堺一機と結婚するという結末でした。「えーっ」というのが偽らざる感想です。これで主人公は救われたのでしょうか? 新たなトラウマにならなかったのでしょうか?
松井玲奈は高校時代にクラスで嫌われていた、いわゆるいじめられっ子で、友達が一人もいない、閉じこもった性格だったようです。それがたまたま訪れたお笑いライブで主人公を知り、自分と同じだと感じ、友達になりたいと思ったのです。
ここまではいいとして、しかし、その後の行動を見ると、どう見たって主人公に勘違いさせるには十分な言動です。それなのに「主人公があたしを女として見ている」ことに気づいて距離をおいてしまうなんて、あまりにも残酷です。女の子と付き合ったことのない主人公に、そんな女性の心の機微が理解できるわけがありません。あれだけの好意を示されたら、誰だって「自分に気があるんだ」「自分のことが好きなんだ」と思い込んでしまうのは無理ないところでしょう。
で、そこで主人公から離れようとするのはよいとしても、そのまま師匠である小堺一機と付き合って結婚に至るって、ちょっと松井玲奈の思考回路が理解できません。もしかしたら、主人公が早い段階で松井玲奈に告白をし、恋人として付き合う形に持って行けていればよかったのでしょうか? しかし、自分に自信のない主人公が、世慣れした師匠のように振る舞うのは無理です。100パーセントどころか、200パーセント、1000パーセントの確信が持てなければ告白なんてできないでしょう。
「ただ友達になりたかっただけ」という松井玲奈の気持ち、残酷です。
そういえば、新ドラマ「私結婚できないんじゃなくて、しないんです」の中でも主人公の中谷美紀が、学生時代に好きだった徳井義実に告白するも「友達として」とやんわりフラれてしまうシーンがありました。
「友達っていうルールはとても難しいゲームね」という「サイレント・イヴ」の歌詞がしみます。