鳴り物入り?

どうしたら本が売れるのでしょうか?

とにかくたくさん作って、たくさん作れば安くできるから、多くの書店に並べてもらって、多くの人の目に触れる機会を作れば売れるのでしょうか?

そんなわけないことは自分が一番よくわかっています。

安いにこしたことはないけれど、安ければ売れるというわけではないのも事実です。

でも弱小出版社の哀しさというか、僻みですね、どんな書店に行っても店内の目立つ場所にドーンと積んである他社の本を見ていると、そんな気にもなってしまいます。

でも次の刹那、「あんなに積んだからと言って売れるわけじゃないんだよね」という思いがフツフツと湧いてきます。前の週に山のように積んであった書籍が、翌週にはきれいさっぱりなくなっているのは日常茶飯事です。全部売れたということもあるでしょうが、多くは「それほど売れず裏の倉庫に仕舞われた、あるいは返品された」という運命のはずです。そんなに片っ端から売れていたら「出版不況」なんて、とうの昔に終わっているはずです。

ただ、書店で本がたくさん積んである場合、頼みもしないのに勝手に入荷した、出版社の人に頼まれてちょっと多めに仕入れてみた、自分で売れると判断したから大量に仕入れた、という三通りのパターンがあると思います。最後の例であればよい結果が生まれる可能性が高いわけで、「売れる」と判断してもらうためには、やはり営業マンの営業トーク力がものを言うのではないかと思います。となると、二番目のパターンに近いかもしれませんね。

それはともかく、積めば売れるというものではないけれど、ある程度見せる場を作らないと売れるものも売れなくなってしまうというのも事実です。しかし、見せる場を作るまではなんとかできても、つまり積んでもらうところまでは営業力でできるとしても、それが実際に売れるためには、更に何をしたらよいのでしょうか?

なんで、改めてこんなことを書いているかと言うと、ネットでこんなニュースを見たからです。

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出版ではなく映画業界、芸能界の話です。当然、出版業界とはかかっているお金の桁が違うはずですが、プロモーションにしろ、市場リサーチにしろ、相当入念にやっているはずです。それでこういう結果。もちろん、一週目だけで判断するのはよくなくて、本だって刊行からしばらくたってから売れ始めるものもたくさんあります。後からの巻き返しもゼロ・パーセントということはないでしょう。

でも、過去の例から見て、初週の動きで結果はだいたい判断できてしまうのでしょう。だから、こんな風に書かれるわけですから。当然のことながら、映画会社の営業マンは、われわれ出版社の営業なんかとは比べものにならないくらい営業努力をしていると思います。それでも、こんな結果。

結局、ブームというかヒットというのって、なかなか制作サイドの思うようには作り出せないということなんですよね。確かに本だって、事前の期待を裏切るものもあれば、さほど期待していなかったのに売れに売れるものがありますから。