先程アップしたダイアリーはメトロの駅で見つけたパンフレットのことを書いたわけですが、つまりは東京五輪を見据えて、東京に、日本に外国人を招こう、そしてもっとおもてなしをしよう、という気持ちの表われなのだと思います。そして、たぶんそんな流れに乗ったと思うのですが、書店回りをしていたらこんな本を見かけました。
『フランス語日本紹介事典』です。とりあえず、フランス語だけが刊行されていて、それ以外にドイツ語やスペイン語、あるいは中国語・韓国語の刊行予定があるのか、詳しいことはわかりません。ただ、本書を見たときに「やられた!」と思いました。
本来なら、という表現が正しいのかわかりませんが、あたしの勤務先こそ、こういった英語以外の日本紹介本をもっと出版していてしかるべきなのではないか、そんな風に思ったからです。実は、フランス語では本書とはやや趣旨がズレますが、『フランス人が日本人によく聞く100の質問』がロングセラーで売れているそうです。日本のことをフランス語で伝えるという意味では両者に共通するところはあると思います。
さて、五輪に向け訪日外国人が増えることが予想され、来日外国人へのおもてなしとして少しくらいは外国の言葉が出来た方がよいだろうと考える日本人も多いと思いますが、ではどんな本を作ればよいのでしょうか? 漠然と「やられた」と思いましたが、よくよく考えると、ターゲットや難易度、難しいことだらけです。
ある程度、外国語を学んでいて、そういう人が訪日外国人向けに特化した日本紹介の参考書を求めていると予想して、それなりのレベルのものを作るのか? それとも、「ハロー」「サンキュー」程度のカタカナ英語が関の山、それ以外の外国語なんてまるでわからないという日本人が、なにはともあれちょっとはしゃべりたいから、という程度の需要を狙うのか?
とりあえず、外国人が来そうな場所、例えば東京の浅草とかで、ホテルやそれなりのお店なら英語や中国語・韓国語のできるスタッフを雇っているでしょうけど、個人商店ではそんな余裕もなく、それでも自分のお店にも外人さんが来るかもしれない、と不安がっているおじさん、おばさんも多いのでは? そういう人たちに使いやすい、そういう人たちでも使えるようなもの……
「指さし」シリーズで十分でしょうかね? だって、そういう人たちが、あたしの勤務先が作るような、腰を落ち着けてじっくり学んでいくような学習書を手に取るとは思えないですし、手に取ってくれても、すぐに挫折してしまうのは火を見るより明らかだと思うのです。やはり、ここは餅は餅屋。この手の語学書は実用書系の出版社や旅行ガイド出版社に任せるのがよいのでしょうか?