アルメニア人問題の問題

本日の朝日新聞読書欄から。

藤原書店の『アルメニア人の歴史』が紹介されていました。なかなかお値段の張る書籍です。ただ、この本に関心を持たれる方はアルメニア人問題について意識が高い方ばかりでしょうから、このくらいの価格でも手に取り、購入へと向かうのではないでしょうか?

そもそも日本人にとってアルメニア人って縁が薄いですよね? アルメニア人っていうくらいだからアルメニアに住んでいる人でしょ、とまでは言えるのかもしれませんが、ではアルメニアってどこよ、と問うたときに正確に答えられる日本人が果たしてどれくらいいるのか? カスピ海の近くと答えられればまずは御の字でしょう。

そのアルメニア人、紹介されるときは「虐殺」という単語とペアになることが多いのではないでしょうか? ネットで検索してもヒットするのも『アルメニア人 ジェノサイドの真実』『忘れ去られたアルメニア人虐殺』『アルメニア人ジェノサイド』という具合に、アルメニア人といえば虐殺ということのようです。

  

あたしの勤務先でも『中東民族問題の起源』という本を出しています。これは副題が「オスマン帝国とアルメニア人」で、やはりアルメニア人問題が主たるテーマになっています。

こういう歴史、詳しいことまでは知らなくても、やはり日本人でも多少の知識は持っていたいところではないでしょうか? でも、それを言うなら、中国政府によるチベット人やウクライナ人に対する弾圧だって、多くの日本人に走られていないことでしょうし、モンゴル族への仕打ちもかなり苛酷だったことだって知られていませんよね。