未確認生物?

録画しておいた「イグジスツ 遭遇」を視聴。

若者のグループが人里離れたところ(当然、ケータイの電波は届かない)へ遊びに来て次々に殺されていくという、ホラーにはありがちな設定。その中の一人が記録を担当しているというPOVの手法ももう飽きるくらい見ています。で、彼らを殺すのは殺人鬼か悪霊かと思いきや、本作ではビッグフット、UMAと呼ぶのでしょうか? まあゴリラと人間の愛のこのような存在。

ビッグフットの噂、主人公の兄弟は知っていたのに友達には教えずにやってきたわけで、その途中、真っ暗な森の中で車が何かに当たったような音と衝撃。ここでビッグフットとぶつかったのかな、という伏線を張っておくのは理解できます。しかし、特に死体があるわけでもないので、「うーん、なかなか頑丈な奴だ」という印象を与えられます。彼らの会話の中で「ビッグフットはこちらから何かしなければ襲ってこない」というセリフがありますが、交通事故でぶつけられたから、その仕返しに襲ってきているのか? とにかくわけがわからず襲われていくわけです。

最後の方になるまで、ビッグフットの姿はほとんど映りません。チラッと映っても、ゴリラのような感じ。いや、普通に目撃したら野生のゴリラだと思ってしまうような風貌、形状です。そして怪力。頭もなかなかよいです。オチとして、人間社会がイヤになって森に逃れ、野生の生活をしている人間が犯人なのかな、という気もします。それくらい、知能は高そうです。が、夜目が利くのと怪力、いくらなんでも人間離れしています。

で、最後の最後、辛うじて生き残っていた、カメラ担当の主人公がビッグフットに引きずって連れてこられたところには、子供のビッグフットの死体、そしてそれを安置しているかのような飾り付け。つまり、彼らが森に来たときにぶつかったのはここに横たわる子供のビッグフット。彼らに子供を殺されたと思った母(父なのかもしれないけど性別不明)のビッグフットが彼らに復讐をしていたというストーリー。

母ビッグフットの気持ちはわかります。でも、あの事故は仕方ないでしょう。そりゃ、運転手の前方不注意と言えばそうですが、あの暗闇、運転手だって決してよそ見をしていたような運転はしていませんでした。子供ビッグフットの不注意、過失も多分にあったのではないか(だってビッグフットの方は夜目が利くんでしょ?)、と思います。

さて、森の中の山小屋の持ち主である、主人公兄弟のおじさんが最後に助けに来ますが、怒りのビッグフットにあっさりノックアウトされてしまいます。最後まで生き残っていたカメラマン、遂に諦めビッグフットに殺されようと覚悟を決めます。ここで初めてにして唯一、ビッグフットがはっきりと映ります。

確かにゴリラではない。でもゴリラみたい。がたいのよい人間が十数年森で暮らしたら、こんな感じになるでしょうか? そんなビッグフットです。しかし、人間よりも少し大きい程度。プロレスラーとか力士とか、体格のよい人間とさほど変わらない程度の大きさしかありません。これではライフル一発で仕留められそうな気がします。はっきり言って怖さが半減どころか、かなり薄れます。もちろん、何発か撃たれているのでビッグフットも血を流しています。

そしてビッグフットは、主人公に背を向け、つまり彼は殺さずに、そのまま森へ帰っていったのです。うーん、なんで? 別に彼がそれほど劇的な行動を取ったわけでもないのに。それにしても、ビッグフットって何頭(何人?)いるのでしょうね、あの森に。子供がいたということは、少なくとも一組の夫婦がいないとダメでしょう。見るからにほ乳類ですから、単独で受精して子供をもうけることは無理だと思います。となると、主人公たちを襲っていたビッグフットがメスだとしたら他にオスが、オスだとしたら子供を産んだはずのメスが、森の中にいるはずです。

でも、それは出てきません。となるともう死んでいるのか? となると、子供が死んでしまった以上、彼(あるいは彼女)が死んだ時点でビッグフットは絶滅ですよね? いや子供がまだ他にいたとしても、次の世代はすべて近親交配になってしまいますけど、大丈夫なのでしょうか?

とまあ、生物学的なことばかり考えながら見ていました。それにしても、こういったPOV式の映画、この十年くらい流行してたくさん作られ、あたしもいくつか見ていますけど、最大のストレスは映像を撮り続ける姿勢です。もしかしたらカメラマンというのはそういう風に出てきているのかもしれませんが、一般論として、あれだけの恐怖、極限状態に置かれた人間が、自分たちが助かることと同じくらいに比重をかけて映像を撮ることに必死になるでしょうか? 逃げるときだって、カメラなんて置いていってしまうのではないでしょうか? どんなときてもカメラを回そうとする態度にストレスがたまります。