なんと鷹揚な

午後から東京国立博物館へ「大神社展」のレセプションに参加するため出かけてまいりました。お歴々のあいさつの後、いよいよ内覧会です。最初の部屋こそ混んでいましたが、そこは飛ばして次の部屋から見学です。そもそも内覧会なので、決まった人数しかいないわけです。後から次々に新たなお客さんが入ってくるわけではありませんし、むしろあとは帰るだけですので、あっという間にゆったりとした鑑賞の時間が訪れました。

基本的には仏教が伝来することによって、造作にしろ意匠にしろ相当な影響を受けたと思われますが、そんな中にもどこか仏教徒は違う、根本的に異なるものが見え隠れします。どのあたりまでもオリジナル神道で、どこからが仏教かぶれしたものか、専門家ではないあたしにはよくわかりませんが、見ているととても面白いです。

神像などは仏像とは異なる独特の風貌をしています。当時の日本人が杏奈面相であったとは思えませんから、あの風体はどこから着想を得たのでしょう? ふつう人と異なる<神>を表わすのであれば、目を三つにするとか、角があるとか、わかりやすい特徴を備えるのではないかと思いますが、そうではなく、どう見ても別の人種を表わしているようにしか見えないものがありました。当時の日本人が、そんなに人相の異なる人間に出会う機会があったのでしょうか? もちろん中国人、朝鮮人であれば、日本人とそれほど変わらないでしょうから、それ以外の国の人と思われますが。

それはともかく、なんだかんだ言っても神仏の親和性が強く感じられたのも確かです。僧形の神様の像がありましたが、解説文には神様が出家して僧形となった姿を表わしたもの、というような説明がありました。神様が出家するなんて発想、たぶん一神教の世界では考えられないのではないでしょうか? そんなところにも宗教に対する古代日本人のおおらかさが感じられました。