中国の本をどうするか

ふと、自宅の書架に並んでいる本を眺めてしまいました。

あたしの自宅には、学生時代に買い揃えた本がいまだにそのまま置いてあります。主に中国で刊行された書籍で、「中文書(ちゅうぶんしょ)」と言います。洋書は欧米からの輸入書のことを言いますが、それの中国版です。学問的に言えば「原書」ということになるわけですが、やはり文系学部は本が多くなりがちです。

自宅通学だったので、大学からそれほど近いところに住んでいたわけではありません。気軽に大学の研究室や図書館に本を閲覧しに行くこともままならなかったので、よく使う本は自宅に持っていないと予習復習もできないからということで買い集めていたらかなりの量になっていたのです。

上の写真は中華書局の評点本二十四史です(薄かったり濃かったりする緑色の本)。あたしが学生のころに「清史稿」が刊行されたので二十五史という呼び方もされるようになりましたが、あたしが学生のころはもっぱら二十四史で通っていたものです。中国史を学ぶ人が一般的に使う中国の正史と言えばこれになります。スライド式本棚を使って、なんとかここに収めてあります。

後輩に聞くと、その後かなり値上がったようですが、あたしが学生のころは、『史記』全冊が数千円だったと記憶しています。古代史を専攻していたので最初は前四史と呼ばれる『史記』『漢書』『後漢書』『三国志』から買い揃え、最後にはすべて揃えてしまったというわけです。

ちなみに、中華書局からはこれに準拠した人名作品や地名作品も出ていまして、それも主だったところは持っています。二十四史の左手に少し黄色い本が見えると思いますが、それは『資治通鑑』です。『通鑑紀事本末』や『左傳紀事本末』などの史書も持っています。

上の写真は『二十五史補編』です。二十五史の足りない部分を後世の学者が補った著作を集めたものです。それだけでもこのくらいのボリュームになってしまうわけですが、中国の学者たちはそれでも足りずにまだまだ補います。そして完成したのが下の写真に写っている『二十五史三編』です。

上の写真では濃い青色の『二十五史三編』の下に『佩文韻府』が見えます。その左は『説郛三種』、さらにその左に見える灰色の本は『永楽大典』です。上段、『二十五史三編』の左には『四庫全書総目提要』など『四庫全書』に関する本です。さすがに『四庫全書』は持っていません!

中国史で一番使うのは最初に挙げた評点本の二十四史ですが、それとは別に故宮の中、武英殿に収められていた武英殿本二十四史というのもありまして、その影印本が学生時代に刊行されました。上の写真がそれです。これは評点本のように活字、句読点付きのものではなく、原書をそのままリプリントしたものです。文字の校勘などで武英殿本が引用されることもしばしばあるので、こちらも結局買ってしまいました。

四書から一転、上の写真は、上段は『説文解字詁林』です。『説文解字』の古今の注釈を集成したものです。下段は清人十三経注疏シリーズです。清朝考証学の成果、儒教の基本文献である十三経の注釈を活字、句読点付きで刊行したシリーズで、不定期に刊行されていたのですが、現在では完結しているのでしょうか? よくわかりません(汗)。

上の写真は、日本史にも名称くらいは出てくる中国の百科事典、『太平御覧』、その右は現代中国語訳の『史記』、そして一番右側にあるのが『通志堂経解』です。清代前の儒教の経典の注釈書です。

最後の写真はやはり中華書局の「新編諸子集成」というシリーズ。基本的には上の新人十三経注疏と同じく、清代の学者の、こちらは周秦諸子の著作への注釈書になります。儒教の注釈もあるので、清人十三経注疏とダブルものもあります。このシリーズも不定期刊行で、既に完結しているのか否か、今となってはわかりません。

とまあ、シリーズもの、叢書を中心にちょっと紹介しましたが、これ以外にも単行本がありますし、ここで挙げていないシリーズ・叢書もあるので、たぶん万近い冊数になっているのではないかと思います。これらの本、どうしましょ? どうしたらよいのでしょう? 中国の本ですから古本屋でも買ってくれないでしょうね。

2016年1月30日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー