藤野可織さんも帯で褒めてくださっている『ミニチュアの妻』ですが、期待どおり中毒にりそうです。
それでも強引にこの中のベストスリーを挙げるとすれば、
まず第3位は「オオカミだ!」 この哀しみに満ちあふれた残酷性がたまりません。それにしても息子の冷静さときたら、よくもまあここまで恬淡としていられるものだと……。いや、胸中察するにあまりある。きっとこんな態度を取っていないと精神のバランスを崩してしまうのでしょうね。
第2位は「僕のすべて」、オフィス勤めをしているゾンビの「僕」の身悶え。これってモテない男性が好きな女の子に何とかして気づいて欲しい、振り向いて欲しいと妄想を逞しくするときと状況が極めて似ているのですが。そんなところにシンパシーを感じます。
そして第1位は、やはり「ミニチュアの妻」です。装丁やタイトルからほのぼのとしたメルヘンを期待して読み始めたら、あにはからんや。とんでもない展開。よくもまあこんなストーリーを考えつくものです。これって、ある意味、現代版「人形の家」なのでは?