朝日新聞の読書欄です。
『ルシファー・エフェクト』が取り上げられていました。
この本、書店で見て、ちょっと気になっていたんですよね。タイトルからして引かれます。どんな本かってよくわかっていなかったのですが、かの有名な「看守と囚人」の実験をやった方の著作だったのですね。
さて、荻上チキさんの評の中に
善人も「状況の力」によってたやすく悪魔となる。
とあります。この部分を読んで思い出されるのは古代中国の思想家・荀子です。ほぼ二千年前の荀子は既に人間の性は悪であり、善であるというのは間違っている。であるから、放っておくと悪になってしまう人間は絶えず礼によって正さなければならないとならない、と主張しました。
こういうところを見ると、人間観察の鋭さにおいて、古代中国は西洋をはるかに凌駕していると感じます。
荀子について興味をお持ちの方は岩波文庫の『荀子(上)』『荀子(下)
』や中公クラシックスの『荀子
』、講談社学術文庫の『荀子
』などがお薦めです。