西蔵

このところ映画「ルンタ」が話題になっているからでしょうか、西蔵関係のニュースが新聞でも目に付きます。

朝日新聞には昨日も今日も記事がありました。記事にもあるように自治区成立50周年という節目であることが最大の理由でしょう。

中国の憲法では、一応は信仰の自由は保障されているわけですが、それはあくまで共産党の指導の下においての自由であり、共産党の意に沿わないものはすべて国家転覆と見做され処罰の対象となり、それが高じて弾圧となっているのが現状だと思います。

チベットの人は、ダライ・ラマがはっきりと言っていますが、決して中国からの独立を望んでいるわけではないと思います。もちろんこの数年、特に厳しさを増す中国政府の締め付けに対し本気でチベット独立を考えている人も増えていると思いますが、まだまだ多数派ではないと思われます。

ちょっと極端なことを書きますが、中国は盛んに「歴史的に」という言葉を使います。チベットだけでなく内モンゴルや新疆、台湾も尖閣諸島も、そして南シナ海の諸島についても、この言い回しをよく使います。つまり、それらの地域か昔から中国の領土であったと。ただ、中国が言うところの「領土」というのは現在の国際社会における国民国家としての「領土」というものとはまるで異なります。

いや、これを言い始めたら、たぶん堂々巡りになって決着が付かなくなるわけで、そうなると、今は中国も加わっている現今の国際社会のルールに従うのが妥当、穏当なのではないかと思います。そうなると、たぶんチベットは中国の領土ではなくなるでしょう。そうなると、今のような強権的な、高圧的な支配の仕方は取れないはずです。ただ、その上で、そこまで中国政府が譲歩した上で、さてチベットの皆さん、現今の国際社会で言うところの独立国になりますか、それとも中国の自治区のままでいますか、と問うたなら、あたしは案外チベットの人は中国に残ることを選択するのではないかと思います。

アメリカ合衆国は州によって法律がかなり異なるそうです。同性婚を認めるか認めないか、個人が銃を所持することを認めるか認めないか。ここまでやるのは極端かも知れませんが、このくらいの独立性、いや独立性という言葉に中国政府がアレルギーを持つのであれば自主性を中国の各自治区が持てるのであればチベットや新疆の騒乱もかなり収まるのではないでしょうか?