重陽の命日

今日、9月9日は重陽の節句。なんてこと、いまの日本人で覚えている人、意識している人はどのくらいいるのでしょうか? 9は陽、6が陰ということも古代中国思想を学んでないとわからないでしょうし……

でも、あたしにとって9月9日は命日です。

ああ、そうだね、毛沢東の命日だよね、ナンシーは中国史を学んでいたから、やはり毛沢東の命日が気になるんでしょ?

と思ったあなた、違います。確かに今日は毛沢東の命日ではありますが、あたしにとっては父親の命日なのです。はい、父親です。紛れもなく実の父のことです。ちょうど19年前の今日、朝ですが、亡くなりました。61歳でした。

その日も今日のように雨で、だから残暑は少し和らいで、でも少し湿度の高い日でした。月曜の朝だったので、あたしはいつもどおり出勤しました。会社でその日の仕事を始めて少したったころ自宅の母から電話がかかってきて、病院から緊急の連絡が入ったから早く帰ってきなさい、とのこと。取るものとりあえず、急ぎ帰宅し、すぐに病院へ向かいました。自宅からは車で、空いていれば15分もあれば着けるのですが、雨とまだ朝のラッシュ時間帯だったので西武線の踏切が閉まっている時間が長く、もう少し時間がかかってしまいました。

病院へ着くと、既に父は事切れておりました。あたしに連絡をしてすぐに病院へ来た母も死に目には間に合わなかったそうです。父は家族に看取られることもないまま亡くなりました。

朝の早い段階で、チューブで入れていた栄養が逆流して誤嚥性肺炎を引き起こしていたらしいので、その時点で自宅に連絡をもらえれば、たとえ本人の意識はないにせよ、死に際に間に合ったのではないかという憾みは残っていますが、今さら言ってもしょうがない、と諦めました。でも誤嚥性肺炎なんて、苦しかっただろうな、とは思います。死に顔が非常に穏やかだったのだけが救いです。