棚が遠い……

国書刊行会から発売された『包囲』が海外文学の棚の目立つところに並んでいます。売れそうだという諸店員さんたちの勘なのでしょうか? それとも既に話題になっているのでしょうか?

ちなみに、本書の帯にはアントニー・ビーヴァーの大きな文字が躍っています。あのアントニー・ビーヴァーです。あたしの勤務先でもずいぶんとお世話になっています、あのビーヴァーです。

この本は小説ですから文芸書の棚で問題はないのですが、アントニー・ビーヴァーが推奨しているとなると、歴史の棚でも十分いけるのではないか、そんな気もします。

となると、これはビーヴァーの作品ではありませんが、出たばかりのあたしの勤務先の『レニングラード封鎖』が想起されます。この本がノンフィクションとしてレニングラードの戦いを描き、その戦闘の影の市民生活のひとこまを小説に仕立てたのが『包囲』のようです。やはり一緒に並べたくなりますね。

というのは、あたし個人の勝手な妄想でしょうか?

この『レニングラード封鎖』は、言うまでもなくナチ・ドイツ軍がソ連に攻め込んでレニングラードで行なった凄惨な戦いの物語ですが、やはりちょっと前に出した『戦時下のベルリン』はその逆で。攻守ところ入れ替わって、ソ連軍がナチの首都ベルリンに攻め込んで、そこを蹂躙した物語です。

こう書くと、やはり一緒に並べるとよいのではないかという気がします。書店ではどちらも世界史の棚に置いてありますし、ヨーロッパですから、『包囲』と『レニングラード封鎖』ほどには離れていませんが、かたやドイツ史、かたやロシア史に並んでいて、微妙に離れています。

こちらなどは一連の戦いの異なる局面ですから、まとめて置いたほうが効果的だと考えるのは、やはりあたし個人の妄想なのでしょうか?