今朝の朝日新聞から

下の写真は、今朝の朝日新聞に載っていた女性誌の広告です。このところ安保法案反対など、なにかと硬めの記事も目につく女性誌ですが、なんと武雄図書館の蔵書に関する問題が取り上げられていました。どんな記事になっているのでしょう?

武雄図書館の蔵書問題は、なんとなく聞いているだけで、問題となっているリストを目にしたわけではありません。公費でどんな本を買うか、難しい問題だと思います。表面的には時代遅れの古い本や古書を購入することが問題となっているようですが、幾星霜を経ても図書館に配架すべき書物というのはあると思います。しかし、その本が既に出版社では品切れ、絶版となり、もはや新刊としては手に入らないとなれば、図書館としては古書業者を当たるしかないのではないでしょうか?

と、このように書けば、古書を購入することも決して間違ってはいない、むしろそんな名著を品切れのままにしておく出版社の方が悪いとも言えます。出版社が重版するなり新装版として出すなりして新刊で手に入るようにすればよいのでしょうが、それはそれで難しい問題があります。図書館と違って出版社は営利を追求する企業です。採算がとれないと踏み切ることはできません。

ただ、この件は、いま話題になっている武雄図書館問題とは別でしょうから割愛します。図書館の古書購入です。あたし個人としては上にも書いたように、現在の出版事情(出版社の在庫状況)に鑑みて、一概に否定すべきものとは考えていませんが、だからといって何でもかんでも古書で購入してよいとも思っていません。そこにはやはり図書館として配架すべき、所蔵すべき図書なのかどうか、しかるべき立場の人が慎重に吟味するべきだと思います。

さて、同じ今日の朝日新聞に上のような記事が載っていました。コンビニ大手のローソンが書籍の販売に力を入れるという記事です。この分野ではセブンイレブンが先を行っていますが、ほとんどのセブンイレブンを見ても、置いてあるのは雑誌がほとんどで、書籍を売ろうという感じは受けません。

記事中の写真ではもう少し書籍を充実させて、どのコンビニもある雑誌スタンドではなく、きちんと書籍コーナーと呼びうるようなスペースを確保し用としている感じが伝わってきます。

しかし、品揃えはどうするのでしょうか? プロの書店員ですら大量の新刊に追われ、置くべき書籍の選定に時間を割いている暇がないのが現状です。書籍のことなどほとんどわかっていないコンビニ店員が書籍コーナーと呼べるほどの売り場を作れるのか? 無理でしょうね。恐らく取次かチェーン本部が一括して「データ上、いま売れている書籍を30アイテム、あるいは50アイテム送り込む」という形になるのではないでしょうか。それ以外に方法があるとは思えません。そうなると、本屋とは呼べませんよね。どこのローソンへ行っても置いてある書籍は同じ、という近未来図がイメージできます。

結局、セブンイレブンやローソンなど、コンビニの運営ノウハウを使う限り、そうなってしまうのはやむを得ないのでしょう。とあるローソンでは、やたらとUブックスが揃っているとか、エクス・リブリスがすべて置いてあるとか、そういうバラエティを期待してもダメなのでしょう。

という感じで、なんか否定的なことばかり書いてしまいましたが、実はあたしは、書店の廃業が増えている中、出版社としてどこで本を売ればよいのかと考えた場合、アマゾンよりもコンビニに期待を持っているのです。アマゾンはパソコンなどでアマゾンのサイトにアクセスしないとなりません。まだまだ多くの人にとってはハードルが高いと言えます。それに引き替えコンビニは、若者からお年寄りまでほぼどの世代をも取り込んでいます。大袈裟に言えば、「アマゾンにアクセスしない日本人は多くても、日に一度もコンビニに行かない日本人はいない」というわけです。

セブンイレブンだろうがローソンだろうが、これだけ日本人が毎日のように訪れる場所でものを売らない手はありません。しかし、本は種類が多くニーズもバラバラです。ですから、コンビニ店頭でのリアルな棚を充実させるのではなく、カタログあるいは店頭の機械(端末)をもっと使いやすく、本を買いやすく改良する必要があるのではないか、そう考えています。

お年寄りが公共料金の振り込みに来たついでに簡単に端末を操作して本を注文する、そんな感じに持って行けたら、アマゾンは日本から撤退せざるを得なくなるのではないでしょうか?