演技指導書のこんな売れ方!

近々、こんな本が出ます。

イヴァナ・チャバックの演技術』といいます。

イヴァナ・チャバックって誰? というのが多くの日本人の感想だと思いますが、あたしもそれとほとんど変わりません。で、聞くところによると、この方、ハリウッドではチョー有名な演技指導者なんだそうです。

そのチャバックさんが初来日し、ワークショップを開催するそうです。上掲の新刊も、その来日のタイミングに合わせての刊行となります。

さて、この本、「俳優力で勝つための12段階式メソッド」というサブタイトルもあるように、メインの読者は俳優さんだと思います。役者と言ってもよいでしょう。既に一線で活躍しているバリバリの現役の方から、これから飛躍する卵の方まで、あるいは自分が演じるのではなく演出をする方にも有用な本だと思います。

でも、このジャンルの本、それだけではあまりにも市場が狭すぎます。もちろん、日本中で役者を名乗る方全員が一冊買ってくださるのであればかなりの冊数になりますが、そんなことはないでしょう。それなのに、実は出版社の予想を裏切って、こういう本、思った以上に売れるのです。

あたしの勤務先の刊行物ですと『発声と身体のレッスン 増補新版』と『演技と演出のレッスン』がそれです。どちらも大ロングセラーです。

 

では、どういう人が買うのか? 正確なところは言えませんが、創造的な仕事に就いている人、たとえばミュージシャンとか、そういった方も買ってくださっているようです。つまりは、自分の肉体を使った表現者ということです。

しかし、されだけではまだまだ足りません。市場調査していきますと、つまりは書店の方から聞いたりした結果なのですが、就職活動中の学生も買っている、営業職のビジネスマンが買っている、そんな声が聞こえてきます。

そうです。自分の声と体を使って表現するのは何も役者や歌手だけとは限りません。自分の将来がかかった就職活動、その大切な面接で自分をいかにアピールするか、そんな学生にとってこういう本がバイブルになっているようなのです。そして、外へ出て厳しいビジネスの現場をくぐり抜けている営業マンも、やはり発声や表情、姿勢はとても大事な要素です。とても疎かにはできません。そういう人たちにとって、プロの指導者がプロへ教えるこの手の本はまさにうってつけというわけなのです。

そう言えば、既に品切れですが、以前『クリエイティブな習慣』という本が出ていまして、やはりこれもそういう感じで売れました。となると、この手の本は、書店の芸術コーナーではなく、ビジネスや自己啓発のコーナーに置いた方がよいのかも知れませんね。