増刷と重版

どんな業界にも、その業界特有の用語というものがあると思います。自分たちは常識のように使っているけれど、業界外の人にはチンプンカンプン、日本語を話しているとすら思ってもらえない時もあるのではないでしょうか? そんな中、出版業界は比較的意味不明の専門用語、業界用語は少ないのではないかと思うのですがいかがでしょう?

で、今回は「重版」と「増刷」です。とりあえず読み方はそれぞれ「じゅうはん」「ぞうさつ」です。この両者、ほぼ同じ意味ですが、使い分けている出版社があるのか、それはわかりませんが、この二つの単語でググってみるといくつかヒットしますので、この二つの単語の意味が同じなのか異なるのか、気になっている人はそれなりにいるということですね。

違いについてはググった結果を参照していただくとして、基本的には、どちらも本が売れて在庫が少なくなり(あるいは無くなり)、さらに追加印刷することを指します。新聞などの広告にも「重版出来」なんて言葉を見かけることがあると思いますが、それは追加印刷されたものが出来上がってきました、という意味です。

さて、業界の人間は増刷だろうと重版だろうと同じ意味だとわかって使っていますが、問題は受け手です。読者の方に「増刷」という言葉と「重版」という言葉はどちらの方が「売れている感」が伝わるかということです。

なんだよ、同じ意味だろ、と言われれば、その通りです、と答えるしかありませんし、意味が同じだということを知っている読者には愚問でしょう。しかし、それでもまだ多くの人がこの両者の意味が同じだとわかっていない、あるいは「何か違いがあるのでは?」と思っている現状からすれば、たぶん受ける印象も異なっているのではないかと思います。

そして出版社としてはできるだけ「売れています」ということを伝えたい、訴えたいわけですから、「重版」と「増刷」とで受け手である読者への伝わり方に差があるのだとすれば、それは広告などにおいても重視しないとならないだろうなあと思うのです。

で、実際のところ、どっちの方が売れている感を感じるのでしょうか?