指導者としては有能? 無能?

戦後70年だからというわけではありませんが、いや、そういうわけだからなのでしょうが、このところ第二次世界大戦関係の本を続けざまに読んでるなあ、という気がします。

  

やはり主役の一人であるヒトラーは関心を持たざるを得ないのですが、『第二次世界大戦1939-45』にせよ、『ヒトラーとナチ・ドイツ』にせよ、読んでいると、ヒトラーって有能な指導者だったのだろうかという疑問がわいてきます。

もちろんカリスマ的な存在で、歴史上の重要人物であるということは間違いないと思います。良くも悪くも(「良くも」は無い?)歴史を作った人ではあるでしょう。しかし、上記のような本を読んでいると、戦争指導者としても政治家としても、どれだけの手腕を持っていたのか、そこに疑問を持たざるを得ません。

確かに第一次世界大戦後の疲弊したドイツを立て直し、失業率を改善したという実績はありますが、それも上掲の本を読んでいると必ずしもヒトラーの功績ではなく、前任者たちがまいた種がヒトラー政権の時になってようやく花開いたらしいのです。ヒトラー自身に明確な政策というものがあったのか、はなはだ疑問です。

いや、政策というのであれば、反ユダヤ主義をはじめいくつか挙げられますが、それがドイツという国舵取り役として正しい政策だったのか。歴史のその後を知っているわれわれには「間違っていた」ということは簡単ですが、確かに当時のドイツ人の欲するところではあったわけで、それをうまくすくい取り、言葉にし、明確な目標・政策とした手腕は並々ならぬものがあったでしょう。そこまでは認めざるを得ません。ただ、それ以外の政策となると、彼は何をしたのでしょう?

ドイツの生存のために東欧へ勢力圏を広げるという方針は、当時としてはまだ「アリ」だったと思います。特に反ロシア、反ボルシェヴィキという点では英仏の支持や協力も十分得られたのではないかと思います。にもかかわらず西の方、フランスへ兵を進めるということもやってしまう点において、深謀遠慮と言いますか、先の先を見通す目を持っていなかったのかな、と思います。

ナチ政権は閣議というものを開かなかったようで、すべてはヒトラーの一存、ひらめき、思いつきで決められていったようで、途中からはほとんど「狂気の沙汰」の連続、とても兵法のいろはがわかっているとは思えないような指示ばかりになりますので、彼が軍事指導者としては二流、三流であったことは間違いないと思います。なので、せめて政治家としてはどうであったのかと考えても、めぼしい成果を挙げられないのです。

いや、数冊の本を読んだだけの付け焼き刃な知識ですから、これくらいでナチを語ってはいけないのかも知れませんが……