SNSと人文書

続きまして、人文会の勉強会。

鼎談でした。空犬さん、幸さん@リブロ池袋本店、北川さん@代官山蔦屋書店のお三方。SNSを人文書の棚作りにどうやって活かすかというテーマでした。

結論から言ってしまうと、果たして聴きに来ていただいた書店員の皆さまが、お三方の話からどのくらいSNSの活かし方を学べたか、吸収できたか、それについては疑問が残ります。それはお三方の話がダメだったと言うことではなく、肝心のSNSをどう活かすかという話に入る前に時間切れになってしまったことが大きかったのだと思います。

やはり、いま盛り上がっているSNSとはいえ、それをかなり使っている人と、たまには覗きますという人と、ほとんどからっきしわかりませんという人と、千差万別、十人十色だと思います。いつぞやだったかのTwitterから話が広がって実施されたフェア(ネコ本フェアでしたっけ?)など、ネットを使っていない人は全く蚊帳の外で事態が進行していたりする昨今、情報収集のアンテナを張り巡らしておかなければならない書店員としては、今回のテーマはとても興味深かったのではないかと思います。

ですから、本屋とは、人文書とは、といった大上段の話はそこそこにして、SNSを中心に据えて話を進めた方がよかったのかもしれません。そういった意味では、空犬さんのブログを中心に業界でどんな動きがあるのかをチェックする、というのも一つの方法でしょうし、まずはこの人のブログやTwitterを追いかけておけば、啓発されることが少なくない、というものを見つけるのが近道なんだろうなあと感じました。

SNSの使い方としては、幸さんが気になる著者の記事をチェックし、著者同士のやりとりからヒントをもらうという話、北川さんは主として情報発信として利用し、情報収集としてはあまり使っていないという話をそれぞれされ、極めて好対照なところが面白かったです。

でも、結局、最終的に感じたのは、情報を集める手段がネットなどにも広がったということだけで、実際に書店員がやるべきことはこの数十年なにも変わっていないのだなと再認識させられたということです。世の中の興味、ホットな話題、これから盛り上がりそうなテーマを嗅ぎ分け、それに沿って選書し並べる。昔もやっていたことですよね? ネットやSNSの発達で収集のやり方とか発信の拡散性に違いはあるものの、実はおんなじことなんだ、変わっていないんだ、と思った次第です。

ただ、書店というのは、このように提案し、工夫し、発信していかないとダメなものなのでしょうか? 街の小さな本屋さん、おじちゃんとおばちゃんが細々とやっているお店、そんな愚直にやっているだけの本屋では生き残れないのでしょうか? そんなことも感じました。