まゆゆ、頑張ったね!

視聴率的には大爆死と言われ、当初の全10話か11話が、第9話で打ち切りになってしまったという、フジテレビ系「戦う!書店ガール」の最終回。

多くの人が指摘するように、やはり脚本が悪かったのかな、という印象です。特に本来ならあと3回(2回?)あるはずだった放送を一回に詰め込んでしまったため「無理矢理感」はどうしても否めません。最後の最後の企画を実施して、退職&再就職問題にもけりがつき、なおかつまゆゆの結婚式まででは視聴者もついていけないと思います。なんであんなことしちゃったのでしょうか? 少なくともまゆゆの結婚シーンは不要でしょ? それとも一部のファンに(いるのか、いないのか?)まゆゆのウエディングドレス姿を披露したかっただけなのでしょうか?(←オタクはたぶん見たくなかったのでは?)

でも、出演者たちは非常によく演じていたのではないかな、と思います。あたしは、あまり「演技が下手」とか、そういうことはわかりません。監督の演出がどうのとか、シナリオが悪いというのもよくわからないです。今回「脚本が悪い」と書いたのは、あくまでストーリー展開に無理を感じるからであって、もしそういう展開をプロデューサーやディレクターが求めていたのだとすれば、脚本家が悪いわけでもないと思います。いやプロであれば、それでもそれなりのシナリオに仕上げるべきなのでしょうか?

何度も書いているように、原作ではこの書店のモデルは立川にあるオリオン書房です。長いこと地元に愛されたその書店が閉店になり、最後の一ヶ月、悔いが残らないように、それまで何かとぶつかっていた理子と亜紀が奮闘し、それなりの満足感、達成感を味わってエンディング、でした。数年前のジュンク堂書店新宿店閉店時の盛り上がりのようだ、と言ったらなんとなく伝わるでしょうか? 原作者の碧野さんがこれこっきりの作品と考えていたのか、それとも最初からパート2を考えていたのかわかりませんが、原作小説では理子と亜紀は吉祥寺のジュンク堂書店とおぼしき書店に転職し、こんどはここで頑張るというのがストーリーです。小説のパート3も舞台は吉祥寺です。最新刊のパート4こそ主人公が代替わりしていますが、やはり舞台はジュンク堂書店吉祥寺店です。

   

という原作の流れを考えると、もしこのドラマの視聴率がよければパート2も考えられたのではないでしょうか? その場合、田辺誠一演じる田代が勤めるユニコーン堂で理子と亜紀が再び奮闘する、というストーリーが予想されます。しかし、ドラマでは仲間たちがユニコーン堂へ転職したのに対し、主人公である理子は自分だけの小さな書店を開いています。そして亜紀もそこへやってくるのです。どう見ても、これは「続編は無いぞ」と言っている感じですね。

さてさて、書店業界、否、出版業界が長い不況にあえいでいることは誰もが知っていることだと思いますし、そのため街の本屋が毎年閉店していることも、池袋のリブロのように大型店でもなければ、もはやニュースにすらならない状況です。ですから、ドラマとはいえペガサス書房の売り上げが悪いから閉店というのはリアルな話です。

ただ、門外漢がわかったようなこと言うな、と怒られそうですが、人口も少ない地方の街ならともかく、大都会・東京の吉祥寺にある一番店が売り上げ不振で閉店なんて、ちょっと設定上無理を感じます。もちろん東京のターミナルにある書店だって、現実問題としては昨年並みか、(消費税アップもあったので)若干のマイナスというところだと思いますが、ドラマで言われていたほどの売り上げダウンで閉店なんて、ちょっと考えられないところです。

むしろ、理子や亜紀たちの頑張りを引き立てるためでしょうが、前店長・野島エリアマネージャーのような人が上に立っていたからこそ売り上げがダウンしたのではないかと思います。あの野島マネージャーを始めとしたペガサス書房上層部の旧態依然とした時代遅れ感、女性蔑視の態度、あれこそがペガサス書房吉祥寺店を閉店に至らせた元凶だと思います。あんなトップの元では、ペガサス書房は次々にお店を閉めていかざるを得なくなる、そう思います。

さきほど、もしこのドラマのパート2があるなら、と書きましたが、もしそれを見越していたのなら、ペガサス書房吉祥寺店をユニコーン堂が居抜きで引き継ぐ、もちろん従業員も希望するならそのまま、というストーリー展開が最初の構想だったのではないでしょうか?