「○○書房の某々ですが、△△さん、いらっしゃいますか?」
しばしば勤務先にかかってくる書店さんからの電話です。
「申し訳ありません、あいにく△△は外出しておりまして、本日は社に戻らないのですが……」
これも、よくある返事のパターンです。こう答えると多くの場合「では、明日またかけます」という方、「伝言をお願いできますか」という方に大別されます。もちろん重要な用件ではなく、ただの注文なのでそのまま電話に出たあたしたちに注文を伝える方も多いです。でも、中にはこういう方もいるのです。
「連絡とれませんか?」
こう言われても、△△がタイミングよく会社に電話でもかけてくることがなければ連絡の取りようがありません。営業に出てしまったら、あのあたりの書店を回っているのかな、という想像を働かすことはできますが、果たして本当にどこの書店を訪れているのかわかりませんし、そもそも何時にその書店を訪問しているのかもわかりません。そんな状態でその日訪問していそうな書店に「うちの△△、お邪魔していないでしょうか」なんて電話をかけられるものではありません。
ただ、上のような言い方をしてくる人の言い分としては
「ケータイ持っているでしょ? どこにいたって連絡くらいつくでしょ?」
というところなのだと思います。
はっきり言いましょう。△△に限らず、あたしの同僚たちはみんなケータイを持っているのかも知れませんが、あたしはその番号を知りません。だってケータイにかける必要を感じませんから。それに、同僚たちが持っているのはあくまで私物としてのケータイです。会社から支給されたものではありません。つまり仕事で使おうが使うまいが、それは個人の勝手。ケータイを持っているからといって、それを仕事にまで使ってよいものでしょうか?
もちろん△△や同僚が、自分と親しい書店員さんや同業者に自分のケータイ番号を教えているのであれば話は別です。まあ、それなら会社にかけては来ないで、直接△△のケータイにかけるでしょう。
だから、それはあくまで個々人の判断であって、あたしとしては個人の持ち物であるケータイであれば、それを強制的に仕事上で使わせたいとは思いません。だから、ケータイ番号もなにか必要があって同僚が教えてこない限りは、こちらからも聞くことはありません。
しかし、あたしの勤務先に限らず、他社の人を見ても、多くの人が自分の私物のケータイを仕事で使っていますね。もちろん通話料も会社に請求することなく、自腹のようです。もちろん会社支給のケータイを持っている人もまれにいますが、それは数えるほどしか逢ったことがありません。
本来、会社が負担すべき費用を、なんかなし崩し的に個人負担させられているような気がして、あたしは密かに非常に不愉快な、由々しき事態だなと思っているのですが、あたしの考え方の方がおかしいのでしょうか?