ただのリメイク?

昨日は「ラブリー・モリー」だけ書いてアップしてしまいましたが、実はもう一作、「呪怨―終わりの始まり―」を見ていました。

佐々木希主演による、かの「呪怨」の新作です。さて、どんな風な展開になるのかなと期待していましたが、まずこれまでの「呪怨」に登場していた文化住宅のような因縁の家は登場しません。代わって、今回の舞台となる家は高台な建つ豪邸(と呼んで構わないでしょう)です。ここを舞台に惨劇が始まるのですが、この映画、これまでの続きとかではなく、見た限りでは、第一作のリメイクのような気がします。もちろん個々の登場人物とか、細かなところでは違いがありますが、時系列をバラバラに配する展開、その家に入ったものが謎の失踪(死?)を遂げるといったところはすべて同じです。

時系列を整えて、ざっとストーリーをおさらいしておきますと、19年ほど前にこの家で男の子が虐待死されるという事件が発生し、それ以後この家は空き家になります。そして10年前にある夫婦がこの家に越してきて、男の子を授かります。この男の子が俊雄くんで、19年前(この夫婦から見たら9年前)にこの家で虐待死した男の子(この男の子も俊雄くん)の生まれ変わりで、怨霊となった男の子が妻の体に入り込んで生まれた子という設定です。この少し前から妻は精神を病んできている感じですが、それはその後見つかった日記を読むとわかるという筋書き。

成長するにつれてこの俊雄くんが父親に懐かなくなり、夫は妻の浮気(つまり俊雄くんが自分のことではない?)を疑い、そのまま妻を殺してしまいます。俊雄くんも殺されてしまったのかはシーンがありませんでしたが、そもそもが怨霊ですからね。この夫婦が引っ越してくる少し前になると思いますが、女子高生(トリンドル玲奈など)4人が興味本位でこの家に入り込み、その後4人とも失踪(謎の死?)してしまうというシーンが、4人それぞれのエピソードとして挟み込まれています。

そして現在。佐々木希が中途で担任を受け持つことになったクラスに。ずっと無断欠席している俊雄んくんという生徒がいて、前任の担任教師も彼のことを気にしていたらしいことがわかります。佐々木希も気になって俊雄くんの家(問題の家)を訪れ、ます。それ以降、徐々に活力を失っていく佐々木希を心配した恋人も独自に調査を開始し、問題の俊雄くんが19年前に虐待死していた俊雄くんと全く同じ顔をしていることに気づきます。この恋人も問題の家に入ってしまったがために霊に取り憑かれてしまったのでしょう。そのまま彼も死んでしまいます。どうやら佐々木希は死なないで終わったようですが、それはたぶん、こんどは佐々木希の腹を借りて俊雄くんが生まれてくるというパート2に繋げるためではないでしょうか?

さて、今回の「呪怨」ですが、最初の「呪怨」に比べドロドロした感じが減っている気がしました。

最初の作品では、夫に殺された妻・伽耶子は俊雄の担任とは学生時代の友人か何かで、それを夫に疑われて惨殺されるという内容でした。その後、伽耶子の出生の秘密(イタコの娘?)などが付加されていましたが、夫の狂気や、伽耶子の哀れさ、そして俊雄の悲劇など、人間の愛憎がもっと前面に出ていたような気がしましたが、今回の「呪怨」はそういう意味では薄っぺらな印象になっていると思います。

「リング」のリメイク(?)である「貞子3D」がトンデモ映画になってしまったのに比べると、それなりにオリジナルに忠実にリメイクしている作品になっていたと思いますが、もう少しおどろおどろしさがないと日本的なホラーにはならないのではないか、そんな気がします。