性的虐待?

休日のお楽しみ、映画鑑賞です。先週の土曜から昨日まで妹が子供(あたしからすると、姪っ子と甥っ子)を連れて来ていたので、ほとんど一週間テレビも見られずに過ごしていたので、少し録りだめていた映画ありました。そんな中からの鑑賞です。

まずは「ラブリー・モリー」という作品。

タイトルだけ見ると、なにやらスイートな恋愛ものっぽいのを想像してしまいますが、これはホラーです。が、ホラーと言うよりはサスペンス、あるいはサイコものと言った方がよいのかも知れません。

簡単にストーリーを書きますと、新婚のティムとモリーはかつてもリーが暮らしていた実家(しばらく空き家になっていたみたい)で暮らし始めます。ティムは長距離トラックの運転手らしく、しばしば家を留守にします。そして一人きり残されたわが家でモリーは変な物音や声を聞くようになり、だんだんと精神のバランスを崩していき、という流れです。

変な物音や声がこの家に棲みつく悪霊の仕業というのであれば、どこかで見た映画のようですが、本作はちょっと違います。まずこの悪霊のようなものの正体が、モリー曰く、彼女の父親だというのです。なんで父親が娘に取り憑くのかって? それはよくわかりませんが、そもそも本当に父親の悪霊なのか、最後までわかりません。

で、このモリーにはお姉さんがいて、二人してマリファナをやっていたという過去(いまもやっている?)があります。つまり、この時点でモリーの耳に聞こえるのはすべて薬のせい、つまり幻聴、幻覚という感じがします。その一方、この姉妹には、どうも父親との間に過去に何かがあったらしいことが作品の中で匂わされます。両親ともに既に死んでいますが、両親の死因は不明ですが、どうもお姉ちゃんが父親を殺してしまったのではないか、という感じがします。あるいはモリーが手を下したのを、記憶の書き換えで姉がやったと思い込んでいるだけなのかも。

うーん、いずれにせよ、自分たちが殺したとなると、その家に戻ってきた娘に、怨みを持った父親が化けて出るというのはありえるでしょう。

しかし、この映画、途中でモキュメンタリーっぽく、ビデオカメラでの記録映像を差し挟んできます。「なに、実話を装っているの?」と思いきや、これ、実はモリーが撮っている映像なんです。最初は娘二人と暮らす母親という映像なので、なんとなく父親を殺した後の、モリーとお姉ちゃん、それに母親という昔の映像かと思ったら、どうも画面に出る日付が現在ですので、そうではなさそうです。それに姉妹の話では母親の方が先に死んでいるようですから。

で、この三人家族、実はティムの浮気相手だったのです。娘二人が彼の子供とは思えませんが、母親がティムと出来ているの事実で、証拠の映像も撮れています。となると、すべて嫉妬に狂った、過去にドラッグをやっていた女の狂気、という大筋が見えてくるのですが……

二人を心配して様子を見に来てくれた牧師を誘惑し、挙げ句の上、惨殺。鋭利なドライバーのようなものを後頭部に突き刺して殺すというかなり残酷な手口です。そしてモリーは証拠のビデオをティムに突きつけ、それを魅入っているティムを後ろから金属バットで殴り倒し、地下室まで引きずっていって、やはり先程のドライバー(牧師の頭から抜いたもの)でティムの後頭部を一突き、ティムも絶命です。そして、真っ裸のまま森の中へ消えていくモリー。

結局、精神異常者の妄想だったのか、悪霊は本当にいたのか、悪霊の正体は父親だったのか、モリーとお姉さんは父親から性的虐待を受けていたのか、といったすべてが疑問のまま観客に投げられ、作品中では解決されずにエンディングです。確かにしまい揃ってマリファナに手を出したというのは父親からの性的虐待が引き金になっているという解釈は成り立つでしょうが、それすら明示されません。

最後に、再び空き家になった実家を訪れたお姉さんが、なぜか何も残っていたない部屋の真ん中に置いてあった自分たちのアルバムに目を留め、ページを開くと懐かしい写真が。しかし、父親の写真はすべて顔の部分にウマの写真が貼られていて、何かに気づいた姉が、部屋の片隅にあるドアを開けるところで映画は終わります。これもいったい何なのか、わからない幕切れです。