八紘一宇と人文会ニュース

このところにわかに蘇った言葉、八紘一宇。

もちろん、というわけではありませんが、あたしは昔から知っている言葉ですし、だいたいの意味も理解しているつもりです。一個人が使うぶんには、歴史の墓場から這い出てきたゾンビのような言葉として笑い飛ばすことも出来ますし、本来の意味としては至ってシンプルであり、ごくごく常識的な内容の言葉だったと思います。

それが政治家が使うとなると、特に昨今の自民党政権、安倍内閣の方向性を見ると、ちょっと嫌な感覚を覚えるのも事実です。

ただ、そういうことは抜きに、なんであたしが注目したかと言いますと、いまここで突然脚光を浴びることになった八紘一宇という言葉、ものすごく近い過去に聞き覚え、見覚えがあったので驚いてしまったからです。

現在は丸善丸の内本店や丸善&ジュンク堂書店梅田店、ジュンク堂書店福岡店で開催されている「五野井郁夫フェア」、ここ以外にもジュンク堂池袋本店や紀伊國屋書店新宿本店、リブロ池袋本店、八重洲ブックセンター本店、ジュンク堂書店京都店、三省堂書店神保町本店、同名古屋高島屋店などでも2月から3月にかけて開催いただきました。

この「五野井郁夫フェア」は「人文会ニュース」119号に掲載された五野井郁夫さんの論考「現代民主主義の危機と『言葉のお守り的使用法』」をベースにしたフェアなのですが、この論考の中で五野井さんが八紘一宇という言葉を挙げていらしたからです。

今回の国会での、「八紘一宇」突然の登場を見るにつけ、「五野井郁夫フェア」が実にタイムリーな企画であったこと、そしてフェア会場に置かれていた「人文会ニュース」の抜刷の消化が速かったことを考えると、多くの方が漠然とした不安とかモヤモヤしたものを抱えているんだなあということが感じられました。