「三姑六婆」レポート

日本では近かろうが遠かろうが、親戚の男性はだいたい「おじさん」、女性は「おばさん」で通ってしまいます。父方だろうと母方だろうとほとんど頓着しません。伯父と叔父のような兄弟の順序に拘ったり、あえて岳父などと言ったりすることもありますが、一般的にはそこまで神経を使わなくてもなんとかなります。

が、中国語ではこの親族呼称がかなり厄介です。父方か母方か、あるいは妻方か夫方か、自分よりも年上か年下か、そういった細かなことを区別して呼称も使い分けられています。もちろん、かつてのような大家族も減り、都会では日本と同じように核家族化が進み、更には一人っ子政策のために今後ますます家族、親族の構成員が減る傾向にある中国でも、親族呼称簡素化の流れが速くなることはあっても、遅くなることはないでしょう。とはいえ、現状ではやはり日本より複雑であることには変わりありません。

そんな中国語の親族呼称を簡単に調べられるスマホアプリがありました。知り合いの中国語の先生の紹介で知りました。「三姑六婆」というアプリで、Android版のみがあるようです。iPhoneユーザー向けに同様のアプリがあるのかはしりません。で、インストールして使ってみました。

起動すると上のような画面が現われます。「最初に性別を選んでください」とありますので、ディスプレイ左下の「女」あるいは「男」で自分の、あるいは調べたい呼称の中心となる人の性別を指定します。なお、しばらくするとこのメッセージは消えます。

ちなみに、上の画面はタブレットにインストールした時の起動画面です。こちらでは性別を選びなさいというメッセージは出ていません。またAndroidタブレットでは標準的だと想われる横向き(ワイド?)のレイアウトには対応していないようなので、ふだん横長でタブレットを使っている人は90度回転させ、縦長画面で使用することになります。なお、文字キーで「弟」「妹」の下の文字がちょっと違うのはタブレット版とスマホ版の仕様なのか、あるいはあたしの機種(のフォント環境)が原因なのかはわかりません。

ここから実際の親族呼称を調べていくわけですが、画面には最初から「我」と表示されていますので、「的」キーと「父」「母」などのキーを繰り返すことによって、家系図を辿るような手順で目的の人までキーを押します。最後に「=」キーを押せば、目的の親族呼称が表示されるというしくみです。ディスプレイの上部には小さい字で、そこまで入力したキーが表示されています。戻るときは「AC」の左側にある「円を描いている矢印」キーを押します。

ちなみに、自分を女性に指定したまま「妻」キーを押すと、上図のように見つけられないというメッセージが出ます。女性である自分から見た「妻」って何だ(?)というところでしょうか(笑)。同性婚が普及すれば、いずれここにも解答が表示されるのでしょうか?

また、同じことをスマホ版でやると、上図のように、もう少し丁寧なメッセージが表示されます。

お遊びはこれくらいにして、もう少し真面目に使ってみます。「我」という表示があるので「的」「母」「的」「妹」「的」「仔(スマホ版だと「子」)」「=」と入力してみた結果が上図です。年上か年下かを聞いてきます。やや遠い親戚の場合、最後にほぼ必ずこの質問が表示されます。中国語では自分より年上なのか年下なのかどれほど重視していかがわかります。

「年長」「年軽」を押せば、上図のように答えが表示されます。もちろん「年長」「年軽」を聞かれずに答えが出ることも多々ありますが。

さて、この親族呼称電卓、どこまででもキーを押し「的」で繋いで行くことができそうです。果たしてどのくらいまで行けるのか? いや、そもそもそんなところまで固有の単語が存在するのでしょうか? たぶんそこまでの単語はないでしょうね? 第一、そこまでの親戚づきあいは、いかに大家族の中国人でもしていないでしょうから。

と、以上、ごくごく簡単な「三姑六婆」の使用(試用?)レポートでした。

2015年3月8日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー