ホラー三昧?

こんなホラー映画を2本。

 

ポゼッション」と「悪魔のシスター」です。

まずは「ポゼッション」ですが、これは「エクソシスト」って感じの悪魔払いものです。

両親が少し前に離婚して、やや不安感を覚える姉妹。ふだんは母親と暮らしていますが、週末などに父親と過ごしているようです。その父親の新居を訪れ、三人で家具などをガレージセールで選んでいるときに、妹が古い箱を見つけ、それを購入します。が、それを売りに出したと思われる家の老婆が「それを買ってはいけない」と警告を発するのでした。

既にオープニングでこの箱には曰くがあり、持ち主であった老婆がその呪いを浴びて大けがをしてしまうというシーンがありましたので、見ている側とすれば「ああ、こんどはこの子がやられちゃうんだ」という気にさせられます。しかし、箱の怖ろしさに気づいて壊そうとした老婆が重症を負いながらも、結局はあのように生きているところを見ると、呪いの力が中途半端なものではないのか、という疑問も感じます。まあ、老婆の場合、運良く息子が訪ねてきて九死に一生を得たのかも知れませんが。

さて、箱を持ち帰った女の子。徐々におかしくなっていきます。このあたりはまるっきりエクソシストですね。おかしな動きをしたり、白目をむいて表情がガラッと変わったりするところなんか、どっかで見たシーンだな、という気にさせられます。別れた妻も最初は元夫のいうことなど信じず、両親が離婚したせいで精神が不安定になっていると思っていたのですが、徐々に娘の異変に気づきます。元夫は箱の来歴を調べているうちにユダヤ教で悪魔を封印した箱であることにたどりつき、ニューヨークのユダヤ人街を訪れ、そこのラビに助けを求めますが断わられます。が、ラビの息子が協力を申し出てくれて、二人は娘の元へ取って返し、ユダヤ教による悪魔払いの始まりです。

ユダヤ教を出してきたところが、これまでの悪魔払いものホラーとは異なる新味でしょうかね? ただ、やることは同じですし、実はあまり力のない悪魔払い師、娘を助けたい一心の父親、最後は子を想う親の愛が悪魔に打ち克つというパターンは既視感ありありです。特に、娘の体に取り憑いた悪魔を父親が自分の体に乗り移らせるところなど、「確かエクソシストのラストもこうだったよね?」と思ってしまいます。それでも、最後は悪魔払い師の呪文が効いたのか、悪魔は父親の体からも出てきて、再び箱に閉じ込められてしまいます。

とりあえず、離婚は帳消し、再び(たぶん)再婚したと思われる夫婦と娘二人の一家には平和が訪れ、例の箱は悪魔払いを行なったラビの息子が持ち帰るというところで映画は終わります。が、最後の最後、箱を載せたラビの息子が運転する車が大型トラックと衝突し、たぶん彼は即死、あの箱は事故現場からどこかへ持ち去られ、次の持ち主(=悪魔が取り憑く先)を求めて彷徨っていることでしょう。

うーん、デーモンの力、畏るべし、という幕切れです。いろいろな映画の寄せ集め的な感はありますが、もう少しひねりを加えてもよいのではないかな、悪魔払い師がそれほど活躍するわけではなく、家族の絆を描いた作品と見ればよいのかも知れません。かつてユダヤ教のラビによって封印された悪魔の箱が原因という描かれ方ですが、単純に両親が離婚して情緒不安な娘の妄想、問題行動と見なすこともできそうな作品です。

次に「悪魔のシスター」は1973年の作品。監督は「キャリー」や「アンタッチャブル」のブライアン・デ・パルマです。

あるモデル兼女優の女性が恋人の黒人男性を殺してしまい、それを見ていた向かいのマンションの女性記者が真相を暴こうとするストーリーです。黒人男性を殺してしまったあたりまでは主人公のモデルの女性と、もう一人、双子の妹がいるように演出されていますが、姿が見えず、このあたりはヒッチコックの「サイコ」っぽいです。ですので、「ああ、これは多重人格ものだな」と察しはつくのですが、実は彼女は元はシャム双生児で、分離された妹は既に亡くなっていて、彼女に妹の心が時々宿ってしまうという設定のようです。いや、姉と妹は逆だったかな? まあ、どっちでもいいです。

で、記者の女性の方は警察に噛みついてばかりいる、以前から問題児な女性だったらしく、初めは警察も「またお前か」という感じでまともに取り合ってくれません。そこで彼女は独自に調査を進めるのですが、モデルが連れて行かれた精神病院に潜り込んだところで捕まってしまい、催眠術をかけられ殺人などなかったと思い込まされます。

結局、この精神病院でモデルはまたも錯乱状態に陥り、とうとう院長を殺してしまい、警察も駆けつけ逮捕。警察もようやく記者の言い分を信じ、最初の黒人殺しの再捜査を始めようとするのですが、記者の方は催眠が解けておらず、殺人はなかったの一点張り。黒人男性の死体を隠したソファが田舎の駅前に置かれているところで映画は終わります。

73年の映画ですから、画面も粗く、ストーリーも「これで終わり?」という感じはします。特に、黒人男性の死体を片づけるところなど、あんなに簡単に絨毯や壁の血がきれいになるのかと不思議です。いまならどんなにきれいにしても鑑識が来れば一発でバレるでしょうね。女性記者にしても、あの性格や騒ぎ方では自身が精神病患者だと疑われても仕方がないくらいですし、いまでいうクレーマーといったところでしょうか?

この映画は果たして傑作なのか、駄作なのか? 評価が割れるでしょうね。