本当の友好に産みの苦しみ?

中国の旧正月、春節の大型連休で日本にもたくさんの中国人が来ているようです。来ていると言うだけでなく、中国人が来ることを当て込んで、なんとか地元や商品を売り込もうと必死の日本、という構図も報道などからはうかがえます。政治の世界がこれだけ冷え込んでいるというのに、民間レベルでは全く関係なく動いているところがおもしろいものです。

さて、このところ中国人の所得増加、それに伴う海外旅行ブームによって世界各地で中国人と地元の人との軋轢が生じているようで、時々ニュースでも報じられます。多いのはマナーの悪さ。ほぼそれに尽きるという感じです。ただこれは、まるっきり習慣も文化も異なる海外に来たら、誰だって多かれ少なかれあることで、ネットなどではそれをかなり極端に誇張して報じているようですが、多くの中国人が海外旅行を経験するようになれば、おのずと国内でもそういう知識や経験が伝わり徐々に国際ルールを学んでいくのではないかと思います。なので、あたしは個人的には長い目で見るしかない、と思っています。

ただ、一般に日本人が、わからなければおとなしくして、周囲の様子をうかがう、というタイプなのに対して、中国人はところ構わず、自分のやりたいように振る舞う、という面があるのかもしれません。だから余計に海外で面倒なことになっているのではないでしょうか?

そんな中国人の海外でのふるまいの中で個人的に興味を引かれるのは香港や台湾の反応です。本来、香港も台湾も中国と言ってよい土地ですが、中国本土とのつきあいが増えるにつれ、自分たちとのあまりの違いに困惑し、ひどい場合には「こんな連中と同じ中国人とは思いたくない」という意見まで出ている始末。なまじつきあいが深まった固めに生じた摩擦でしょうね。

さて、日本です。

日本にもたくさんの中国人が来ているようです。日本人もかつては「一衣帯水」などといって中国人とわかり合える、根っこは同じ、的な意識を抱いている人が多かったと思いますが、昨今の反中意識の高まりで、自分たち日本人と中国人は根本的に違うと考える人が増えていると思います。ですから、日本に来ている中国人と摩擦があったとしても香港や台湾の人よりは受け止められるのではないかと思います。

いや、むしろこういう摩擦はもっと起きた方がよいのではないかと思います。そして、その摩擦をきちんとお互いに理解しないと両国が本当に仲良くなることは出来ないのではないか、そんな気がします。当面は中国人がいっぱい日本に来て買い物をしてくれる、たくさんお金を落としていってくれるから大歓迎、という中国人の訪日歓迎ムードが大勢でしょうが、個々の場面では「もう中国人は二度と来るな」的な思いをしている・した人も多いと思います。

でも、だからといって本当に来ない方がよいと思ってはいけないと思います。逆にもっともっと中国人には日本に来てもらって、実際の日本を見、実際の日本人と接してもらい、多少は日本人ともめ事を起こしつつも、日本を理解してもらいたいと思います。

日本を訪れた中国人が日本を好きになってくれなくても構いません。ただ、少なくとも日本を理解してもらいたい、とは思います。大学時代の恩師が中国からの留学生に「親日家になってくれなくても構わない。知日家になってくれ」と常に言っていたことが、今でも耳に残っているから、あたしもそう思うのでしょう。そして、そんな来日中国人とのトラブルは、本当の日中友好のための産みの苦しみだと思います。

2015年2月21日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー