罪を償わせるって?

体調不良の日曜日。起き抜けに入ってきた後藤健二さん殺害のニュース。

イスラム国に捕まったということ、そして日本政府の稚拙な外交能力では、このような結果になってしまうかもしれないという予想は、心の中に無かったといえば嘘になりますが、それでも案外人質交換で助けられるのではという期待も抱いていました。もちろん、ああいう<国>ですから、最初に身代金を要求した時点で、既に湯川さんも後藤さんも殺されていたという可能性も考えなかったわけではありませんが、最後まで諦めない、希望を捨てないのが同じ日本人としての義務だと思っていました。

ところで、この件を受け手の安倍総理の会見で引っかかったのが「テロリストを許すことは絶対になく、罪を償わせるために国際社会と連携していきます」というセリフです。「勇ましい」「国民を殺されてしまった国の総理として当然」という声もあるのでしょうが、あたしには違和感があります。卑劣な暴力に暴力をもって対するのでしょうか? そんなこと後藤さんが最も願ってはいなかったことではないのでしょうか? これまでにも「人道支援だ」と言い張ってみても、既に昨年のうちから二人が人質として捕らえられていることを知っていた上での中東訪問とそこでの演説。あの演説で安倍総理は確かに「対イスラム国」という言葉を使っていたはずです。それがどういう結果を招くことになるのか。(百歩譲って中東訪問は間違っていなかったとしても……)

で、これから何をする? 何ができる? と自分に問うてみても、すぐには答えは出てきません。とりあえず、後藤健二さんの本を買ってみますか? 何冊か出ていますね、彼の本って。そして、いまアマゾンで順位が軒並み上がっています。

   

これらの本を買って後藤さんが伝えたかったことを少しでも知るのが、やるべきことなのかな、と思います。たぶん今日から書店では後藤さん追悼コーナーが出来ているでしょうし、週明けの明日、これらの書籍の出版社には注文がドッと押し寄せることでしょう。本が売れるというのではなく、彼が伝えようとしたメッセージが広く知られるようになるのが大事なのかな、と思います。もちろん、本が売れれば印税が発生し、それによって遺族の方への香典代わり、供養の気持ちとして受け取ってもらえれば、と思います。

あたしの勤務先では残念ながら後藤さんの本は出していませんが、それでもイスラーム社会を理解するための一助となるような本は何冊か出しています。後藤さんの本だけでなく、この機会にイスラームのことを日本人がもっと理解してくれるようなフェアが書店店頭でも展開できたら、と思います。

敵意を持つのではなく、お互いを理解しよう、それが後藤さんが伝えたかったことだと思うので。